校長室からお届けします

にっこり 校長室だより「自立の丘」№5 令和5年5月18日発行

◆ あいさつは心の扉を開く
 沢石小の子どもたちのあいさつは,大変素晴らしく,朝は“こども守り隊”の方々に「おはようございます。ありがとうございます。」と,そして職員室の窓に向かって「おはようございます。」と,あいさつをしています。でも,中には俯(うつむ)いてしまう子や聞き取れない位のあいさつの子もいます。あいさつをすると相手の心の扉を開き,親しくなれるきっかけを作ってくれます。社会人の習慣として重視し,「あいさつがきちんと出来る者を雇用する」と話す経営者もいる程です。子ども達のあいさつをさらに良くしたいと考えて,全校集会で次のような話をしました。

あいさつで心の絆を結び,つなり合おう

三春町立沢石小学校長 安生昌弘

 ある小学校で私が2年生の担任をしていた時のことです。ある5月の朝,まだ小学生が誰も登校していない早い時間に,私は2年生の教室に向かって歩いていました。すると黄色い帽子をかぶった一人の1年生の男の子が,2年生教室の向こうの1年生教室に入っていくところでした。登校1番乗りです。遠くにいる私には気づいていないようでした。すると,その子は元気の良いかわいい声で「おはようございます」とあいさつしながら1年教室に入っていきました。「1年生の担任の先生が教室にいらっしゃるんだな」と思いました。私は1年生の担任の先生に話があったので,2年生教室を通り過ぎて,さっき男の子が入っていった1年生教室へ行ってみました。すると,どうでしょう。その男の子がいるだけで,後は先生も誰もいません。「A君,おはよう。今,あいさつして教室に入って行ったよね。誰にあいさつしたの?」と聞いてみました。するとA君は,ちょっと考えてから,「『教室に』かなあ。」と言うのです。「毎朝,あいさつするの?」「うん,毎朝だよ。」「偉いねえ。」「ありがとうございます。」 誰もいない教室で話をしました。

 私は素晴らしいなあと思いました。A君は毎朝,誰かにではなく教室にあいさつしているのです。教室を大事に思っている気持ちが伝わってきました。もしかすると,先生か友達か誰かが教室にいても良いようにと,あいさつしているのかも知れません。だから,みんなを大切に思っている気持ちも伝わってきます。私は,A君と仲良くなれたような気がしました。直接あいさつを交わしたわけではないのにです。あいさつは,その人の気持ちを相手や周りの人に伝え,心と心がつながります。つまり,あいさつは学校の教育目標の二つ目「つながり合う子ども」になることに大切なのですね。それを1年生のA君に教えてもらったような気がしました。

「あいさつ」という言葉を活かして「あいさつ運動」というものがあります。「おはよう」「こんにちは」「さようなら」等のあいさつを「あ:明るく,い:いつでも,さ:先に,つ:続けて」しましょうという取組です。あいさつがもう一歩だなという人は,気持ちが良くなるような明るい声で,どんな時でも,相手より先にあいさつをしましょう。また,気持ちの良いあいさつが出来ている人は,あいさつの後に,言葉を続けてみましょう。例えば,交通安全見守りをしてくださっている方に「おはようございます。いつも早い時間にありがとうございます。」とか,沢石地区で会った方に「こんにちは。今日は暑いですね。」とかです。これが「つ:続けて」ということなんです。あいさつで人と人との心のつながりが出来ていきます。「あいさつ運動」で,もっともっとあいさつが溢れる沢石小学校や沢石地区,三春町にしていきましょう。