校長室だより「自立の丘」№43 令和6年10月10日発行
◆ もうすぐスポーツ・フェスタ
健康な身体をつくると共に運動に親しもうとする気持ちを高めるために行うスポーツ・フェスタですが,友達との絆を深めて欲しいと願い,子ども達に次のような話をしました。
今から5年前に私の従兄の息子さんS君が結婚式を挙げました。とても心温まる結婚披露宴が行われ,私も参加していました。披露宴の最後にお婿さんS君のお父さんである,私の従兄がお礼の言葉を話し始めました。その中に,こんな話がありました。 息子のSは小学校の時から,ずっと大きくなるまで賞状をもらうような「賞」という物を何ももらったことがない子どもでした。小学校の運動会でもそうで,足が遅くて3等賞までに一度も入ったことがありませんでした。でも一度だけ大チャンスがあったんです。 小学校最後の6年生の運動会のことでした。その時は個人競走が障害物競走で,跳び箱を越えたり,大きなネットをくぐったり,平均台を渡ったりする種目でした。息子のSの順番がやってきました。スタートすると,やっぱり一番最後を走って行きます。ところが,前を走っていた多くの子ども達がネットをくぐる時に引っかかってしまい,引っかかった子によって出来たネットの隙間をSがスッと抜けて,あっという間に2位になりました。後は前を行く1位の子だけです。生まれて初めての賞かも知れない。私たち家族は大声で応援しました。1位の子が最後の平均台を渡り始めました。ところが渡り終えるところで何と転んでしまったのです。すぐには起きられないようでした。もう一本の平均台を渡り終えたSが1位になりました。もうあと少し走ればゴールです。家族が『やったぞ。生まれて初めての1等賞だ』と思った瞬間,Sは何を思ったか,くるっと後ろを向くと転んだ子の所へ戻り,起こしてあげているではありませんか。その間にみんなゴールしたので,結局転んだ子と二人で一番最後に仲良くゴールしました。 息子のSは賞を獲れませんでしたが,私たち家族は1等賞目前で友達の所へ戻った息子から1等賞をもらったような気持ちになりました。優しい息子を誇りに思えたからです。今日の素敵なお嫁さんとの結婚式は,それ以来2回目の1等賞をもらったような気持ちです。 この話を初めて聞いた隣のお嫁さんは感激して,涙を流しながら聞いていました。優しい人は優しい人と惹かれ合って結婚するんだなあと思いました。 スポーツ・フェスタは,その練習の中や当日のスポーツ・フェスタで,体を鍛えて健康になるばかりでなく,友達と協力しながら,いろいろやり遂げていく途中で友達と絆を結び「つながり合う」ことに,ぴったりの行事です。6年生は最後の,1年生は初めてのスポーツ・フェスタで健康な「身体をつくり」,そして友達と固く「つながり合う」ことを目指して頑張りましょう。そして,勝ち負けだけでなく,友達の素敵だなとか頑張ってるなとか,そんな姿が見えたときには,大きな声で応援をして下さい。 |