校長室からお届けします

にっこり 校長室だより「自立の丘」№21 令和5年12月7日発行

◆ クリスマスのプレゼント
 子どもにとって,クリスマスは一番楽しいイベントなのではないでしょうか。ゲームソフトをお願いしているという声も聞こえてきたような気がします。昨日の全校集会でプレゼントについての話をしました。

本当に良いプレゼントとは…

 アメリカ合衆国の小説家,オー・ヘンリーが書いた物語です。

 ニューヨークという大きな街に,ある貧しい夫婦がおりました。ジムという夫とデラという妻です。毎日の食事をしていくのが精一杯で自分たちの楽しみに使うお金などはありませんでした。クリスマスが近づいてきました。アメリカではクリスマスに自分の大切な人に贈り物をすることをとても大事にします。ジムとデラも相手に秘密で,何とかお金を手に入れて相手の喜ぶ贈り物を買おうとします。

  妻のデラは考えました。夫のジムはたった一つの宝物である,金の懐中時計を大切にしている。それは,おじいさんからお父さん,そしてジムへと受け継がれた宝物だけれど,つるす金の鎖がなかったのです。金の懐中時計に金の鎖をつけることができたら,ジムはどんなに喜ぶだろう。そう考えたデラは,自分のものでたった一つ価値のあるもの,自慢の美しい長い髪の毛を,かつらを作って売るようなお店でバッサリと切って売ってしまったのでした。自慢の長く美しい髪はなくなってしまったけれど,ジムはきっと喜んでくれるだろうと思いました。

 その頃,夫のジムもデラの喜ぶ贈り物を考えていました。デラのたった一つの自慢は長い美しい髪でした。その髪をとかす,櫛(くし)をデラはほしがっていました。長く美しい髪をすてきな櫛でとかし,もっと美しくできたなら,デラはどんなに喜ぶだろう。そう考えたジムは,自分のものでたった一つ価値あるもの,金の懐中時計を売ってしまいました。大切な金の懐中時計はなくなってしまったけれど,デラはきっと喜んでくれるだろうと思いました。

 こうして二人の贈り物,「金の鎖」と髪をとかす「櫛」は,それぞれ意味のないものになってしまいました。みんなは,この夫婦を「愚か者だな」「馬鹿だな」と思いますか。このお話の題名は,実は「賢者(賢い人)の贈り物」とつけられています。愚か者ではなく賢い人だというのです。このお話から教えられるのは,「かしこい」とは人の気持ちを思いやりながらよく考えたり,自分がどうしたいかではなく,どうすることが一番よいのかを考えたりすることだということです。そうすれば結果は関係ないのじゃないかということです。その証拠に実は,この二人,少しも悲しまないんです。お互いが自分のことをよーく思いやってくれたんだなあと幸せな気持ちになる位なんです。優しい気持ちをプレゼントできたから,もらったからということです。プレゼントって,モノを贈り合っているようで,本当は気持ちを贈り合っているんですね。

  さて,多くの皆はXmasにプレゼントをもらうんじゃないかな? 中にはゲーム機やゲームソフト,ネットゲーム課金用のプリペイドカードなんてものをお願いするつもりの人はいませんか。ゲームは皆の頭の中から勉強したことを吸い取ってしまうので,自分の子どものことを思いやる,お家の方はプレゼントしてくれないかも知れません。そんな時は,今日の「賢者の贈り物」の話を思い出しましょう。賢い皆なら分かると思いますが,本当に良い贈り物とは相手のことを思いやった心を込めたモノだからですね。また,プレゼントは玩具ではない場合やプレゼントその物がない家庭もあるでしょう。家庭それぞれ違うXmasだと思いますが,家族のことを思いやりながら,家族でゆっくり過ごす夜になると良いなあと願っています。