校長室からお届けします

にっこり 校長室だより「自立の丘」№24 令和6年1月18日発行

◆ 今は考える力を蓄えるとき!
 冬の寒い時期は,森の木々と同じように春に向かって生きる力を蓄えるときだと思います。子どもの生きる力は「考える力」ですので,全校集会で,こんな話をしました。

失敗に学ぶ知恵

 みんなは『イソップ童話』を知っていますか。ヨーロッパに古くから伝わるお話を集めたもので,「アリとキリギリス」とか「ウサギとカメ」とか「オオカミと少年」など,たくさんのお話がその中に入っています。その中の一つに「北風と太陽」というお話があります。

 冬のある日,広い草原の一本道を一人の旅人が歩いておりました。それを見て,北風は太陽に言いました。「あの旅人の上着をどちらが先に取り去ることが出来るか競争しよう」

 北風は力(ちから)いっぱい風を吹きつけました。しかし,旅人は寒さに震え,上着で体をギューッとくるみました。そこで,北風はもっと強く吹きつけました。しかし,旅人は身を守るように上着をさらにきつく巻きつけました。2回とも失敗です。

 今度は,雲の合間から太陽が現れました。そして,旅人を燦々(さんさん)と照らしました。旅人は体が温かくなって気持ちよくなり汗も出てきて,上着を脱ぎました。太陽は,旅人の上着を取り去ることに成功しました。

 北風は,なぜ2回も失敗をしたのに,太陽は1回で成功することが出来たのでしょうか。何となく分かりますね。北風は1回目の失敗を反省することなく同じように繰り返してしまったから2回目も失敗したのですね。それに対して太陽は北風の失敗を見て考えて,北風と違う方法で成功することが出来たのですよね。太陽には,考える力があったのです。勉強することばかりでなく,失敗したことを無駄にしないで次に活かしていくことも「学ぶ」と言います。つまり,失敗に学んでいくと,考える力が付いて「自立」つまり,何でも自分で出来るようになるのです。

 みんなが毎日やっている授業も自分の学習も同じです。間違いや失敗をして良いのです。授業や学習の中で間違うことや失敗することは恥ずかしいことではありません。それを無駄にせずに次に活かして行くことが「学ぶ」ということなのですから……。

 また,普段の生活でのことも同じです。いけないことを言ったり,やったりして,家の人や先生に叱られたことがある人もいるでしょう。誰でも言葉や行動の失敗をします。失敗したことを無駄にせず活かしていくことも「学ぶ」ことになります。

 本当に恥ずかしいのは,間違うことや失敗することではなく,学ばずに同じ間違いや失敗を繰り返してしまうことなのです。間違いや失敗を恐れずにチャレンジしてダメだったら,まず反省することが大事です。そして次に,間違いや失敗を生かして学んでいくのです。「反省できる人だけが,より良い人になれる」と言われるのは,そのためです。さらに,授業や生活で間違いや失敗をすると,それは周りの友達が「北風と太陽」の太陽のように失敗を見て学ぶことへとつながります。自分の間違いや失敗が周りの友達の学びに役立つのです。授業や学校生活が行われる教室は,そんな素晴らしい場所なのです。授業や生活での間違いや失敗は,自分だけでなく,みんなの「学ぶ」ためのチャンスです。授業や学習,そして学校生活の中でたくさんの間違いや失敗に学んで,どんどん考える力を付けて「自立」出来るようになりましょう。