校長室からお届けします

にっこり 校長室だより「自立の丘」№12 令和5年7月20日発行

◆ 成長の夏休みに
 いよいよ夏休みです。子どもが家庭で過ごす時間が多くなりますし,昼食の心配もあるので,ちょっと気の重い親御さんも居られるかも知れませんね。しかし,学校の授業ででは身に付けられない学力,例えば“進んで学習する力”“疑問を解き明かす力”“計画的に続ける力”などを身に付けるチャンスです。以下のような話をしました。

 夏休みのチャンスを活かそう

 明日から長い夏休みが始まります。やる気のある人が何かを積み重ねると,夏休みには,きっとすごい事ができるような気がしますよね。夏休みは,みんなにとって『チャンス』なのです。
 まず第一には,学校の授業はお休みですから,新しい学習が進められるという事はありません。よく身に付いていない学習をやり直したり,学習した事を確かめたりすれば,休み明けの学習をすらすら出来るようになります。つまり,学習がちょっと皆より遅れたなと感じている人は追い付く『チャンス』です。
 第二には,長い夏休みにしか出来ない学習に取り組む事が出来ます。長い時間をかけて生き物や草花をじっくり観察したり,疑問に思ったことを実験したりして理科の自由研究に挑戦する事や普段よりも長い作文に取り組む事,いつもより厚い本を読む事,読書感想文に挑戦する事などです。つまり,普段「やらされているなあ」と感じている学習に対して挑戦して見返してやる『チャンス』です。
 第三には,家族のためになる家庭の仕事を,学校がある日よりも多くする事ができます。そうすると,家族に喜んでもらう事ができ,家庭を幸せにする役割を果たす事ができます。つまり,お手伝いではなく家庭の仕事の一つを任せてもらう「家事の分担」をするのです。学級で配る『夏休みの生活』というプリントにも「お手伝いをしましょう」ではなくて,「仕事を決めて毎日続けよう」となっているはずです。食器の片づけでもお風呂掃除でも良いので心を込めてやりましょう。仕事の事を英語でJobと言いますが,家の人にGood Job(いい仕事してますねえ)と言われるかも知れませんよ。つまり,家族に認めてもらえる『チャンス』です。
 私は小学校4年生の時の夏休みの自由研究で,アサガオの花が咲く瞬間を連続写真で撮ってやるぞと挑戦しました。朝6時に起きました。もうアサガオは咲いていました。次の日は5時に起きました。アサガオは咲いていました。次の日は4時に起きました。それでもアサガオは咲いていました。でも,完全には開いていませんでした。アサガオとの早起き競争になりました。寝坊したり見ている間に居眠りしてしまったりと失敗もあったので10日以上経ったある朝,3時半に起きて見ていると,4時前の暗いうちに,あのドリルのような蕾(つぼみ)が微(かす)かに動き始め,翼を広げるように微かな「シュッ」という音と共に花が開いたのです。とても感動しました。シャッターを押すのも忘れるほどでした。アサガオの花が咲く時に音がするなんて,どの図鑑にも載っていませんでした。もしかすると私の気のせいだったのかも知れません。しかし,アサガオの花の咲く瞬間を見た時の胸のドキドキが今も忘れられません。そして,何より大人になっても夏休みに挑戦した自由研究をこうして覚えているのです。自分で考えて挑戦し苦労して体験した事なので,自分の身に付いたのだと思います。
 さあ,明日からの夏休み,チャンスを生かすかどうかは自分次第です。3つのチャンス「学習」「挑戦」「家庭の仕事(Job)」を是非生かして下さい。