校長室からお届けします

にっこり 校長室だより「自立の丘」№27 令和6年2月8日発行

◆ 人には叱ってくれる誰かが欲しいもの
 人は誰でも弱い面を持っています。だから,叱ってくれる誰かが近くにいると正しく成長できます。その誰かが「もう一人の自分」だったら,こんなに頼もしい事はありませんよね。映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が話題のようですが,鬼太郎の父“目玉親父”とは少し違う「目玉おやじ」の話を全校集会で子どもたちにしました。

目玉おやじは何時(いつ)も見ている

 みんなは,今,自分の中にもう一人の自分がいることを知っていますか。「自分」には,何かを「する自分」と,それを「見ている自分」がいるんです。こんな絵(下図)のようにです。この「目玉おやじ」みたいな「見ている自分」は,自分のやることをすべて見ているのです。ゲゲゲの鬼太郎の目玉親父も実は鬼太郎のお父さん妖怪で,死んじゃったのだけれども息子の鬼太郎のことが心配で仕方ないので,見守るために目玉の姿で鬼太郎と一緒にいるのだそうです。

 みんなの中にいる「目玉おやじ」は,「おまえ,あの時,ずるいことしたよな。」とか,「おまえ,あの時,全力じゃなかったよな。楽をしたよな。」とか,「おまえ,あの時,悪いことだと分かっていたのに,他の人に付き合ってやっちゃったよな。」などと見ているのです。他の人には分からなくても,いつも厳しい目,正しい目で見ているのです。絶対ごまかせないんです。それが自分の中にいる「目玉おやじ」なのです。

 誰でもズルいことやサボったことはあるでしょう。それで「しめしめ,誰にも気づかれずにうまくいった!」と思ったことがあったかも知れないですね。でも,それを知っていて,覚えている人がいるんです。それが,もう一人の自分「目玉おやじ」です。その証拠に,ほら,今だって,みんなは,そのズルいことを自分では覚えているでしょ。

 もちろん「目玉おやじ」が覚えているのは悪いことばかりじゃないんです。自分が頑張ったことや出来なかったけれど努力したことを見ていてくれます。自分の「目玉おやじ」に「うん,おまえもなかなか良くやっているなあ」と認めてもらえます。これが大切なことで,それを「自信がついた」と言うんです。「目玉おやじ」に認めてもらえれば,「目玉おやじ」は自分自身に大きな力を与えてくれます。でも,ズルいことや楽なことだけをして,うまくやろうなんてすると,大きな力で,そのじゃまをするものです。「おまえなんか失敗してしまえ。だって,あんなにズルかったり,サボったりしたじゃないか。」ってね。つまり,目玉おやじは何時(いつ)も見ているんです。

 みんなは,自分の目玉おやじに,認めて,ほめてもらえるような生活を送っていきましょう。人に気づいてもらえなくても,人からほめられなくても,「目玉おやじ」だけは知っていてくれて,大きな力を与えてくれます。自分の力で自分から頑張ることで光り輝くステキなみんなになってほしいと思っています。そんな生き方をするみんなを,私も先生方も何時(いつ)でも,そして何時(いつ)までも応援しています。

 ※ この話は社会教育家 平 光雄氏の「テレビ寺子屋」での講話を基に作成したものです。