校長室からお届けします

にっこり 校長室だより「自立の丘」№17 令和5年10月5日発行

◆スポーツ・フェスタ せまる!
 子どもたちは,来週に迫ったスポーツ・フェスタの練習に取り組んでいます。全員が力を出し切り,楽しかったと思えるフェスタ,小さな感動が生まれるようなフェスタになることを願っています。全校集会で次のような話をしました。

スポーツ・フェスタで心も逞しくしよう

 沢石小ではスポーツ・フェスタの前の形である運動会が,少なくても昭和35年,今から63年前には始まっていたようです。その頃は,沢石小には今の10倍の400人位の児童が居て,沢石中の200人位の生徒と一緒に600人位で,沢石中の校庭で運動会をやっていました。それ以来ずっと行われてきた学校行事なのです。このことは,運動会,スポーツ・フェスタが,どれだけみんなにとって大切なものであるかを示しています。どうしてスポーツ・フェスタをそんなに長く続けて来たのでしょうか。もう勘のいい人は気づいていますね。そうです,私たち沢石小の目標の三番目「自ら身体をつくる子ども」に関係がありますね。身体を丈夫に逞しくするためなんです。
 スポーツ・フェスタが近づくと,私は,ある学校の学年で一番足の速い,とある5年生の男の子のことを思い出します。その子の学校では学年毎に児童代表のスポーツ・フェスタ実行委員がフェスタの種目を話し合って決めていました。実行委員会ではこんな種目を考えて準備に取りかかりました。個人競走のチャンスレースです。
 その種目とは,まずスタートしてカードを拾います。そのカードに書いてある色,赤・青・緑のどれか一つの色のドッジボールを探してゴールするというものです。ところが,その男の子には生まれつき,目に問題がありました。色の見分けがつきにくいという問題です。カードに書いてある字で探すべきボールの色が分かっても,どのボールがその色なのか分かりにくいのです。その子の目の問題を知っている先生達は迷いました。「実行委員の意見は大切にしたい。でもフェスタでその子に悲しい思いはさせたくない。競技を変えるか。それとも,どうにかしてその子に手助けをしようか。」と…。
 次の日,その子のお母さんから電話がありました。「先生,息子から聞きました。3色のボールを探すチャンスレースは予定通りやって下さい。息子は,これからも色の分かりにくい自分の目と共に生きていかなければなりません。自分で問題を解決するように話しておきますから…。」と。5年生のチャンスレースは予定通り行なわれることになりました。
 フェスタ当日になりました。6年生担任の私は準備係で5年生チャンスレースのドッジボールの近くにいました。その子がスタートしカードを拾い,ちょっと迷いながらボールを選びました。そして,どうしたことか,ゴールではなくて係の私の方へまっすぐ走ってきます。そして私にこう聞くのです。「先生,このボールの色は緑ですよね。」私が「そうだよ。」と答えると,にこっと微笑んでゴールに向かいました。私の所に回り道をしたので2着でした。でも,とても嬉しそうでした。私は「たくましいなあ」と思いました。走る姿にではなく,私に聞きに来るという自分で行動する姿を見て,そう感じたのです。
 スポーツ・フェスタは,その練習の中や当日の演技や競技の中で,体を鍛えたり進んで考えて行動したりするのにぴったりの行事です。自分にいろいろな問題があってもそれを乗り越えていけるような体だけではなく自分の強い気持ちや心をつくることも「たくましく」なることだと感じますよね。スポーツ・フェスタは,みんな自身の体も心もたくましくなるためにある行事ですから,フェスタの競技,演技,係や応援の活動,そして練習や準備に体の力と頭の力の両方を振り絞りましょう。