校長室からお届けします

校長室だより「自立の丘」№34 令和6年5月16日発行

2024年5月17日 13時37分

◆ トイレには神様がいる
 子どもの中には,学校でトイレ(特に大便)に行くことを恥ずかしがって我慢することで便秘症になってしまう者がいるそうです。全校集会で,トイレやトイレ掃除のイメージアップを願って次のような話をしました。

 みんなは,『トイレの神様』という歌を知っていますか。(♪トイレの神様〈植村花菜〉を聴かせました。)この歌は「トイレには美しい女神様が目に見えないけれどいるので,綺麗に掃除すると女神様が喜んで,その掃除した人を美人やかっこいい人にしてくれるよ」という歌です。しかし,本当の意味は,誰もが嫌がる汚い場所を一所懸命に掃除する人は,気立てが良いと言って心の美しい人,つまり思いやりのある優しい人になれるよということなんです。だから,本当に神様がいるわけじゃないのかも知れませんね。でも私は別の考え方でトイレには本当に神様がいると思っているのです。それはこれから話すことで分かってもらえると思います。

 みんなは,学校のトイレにおしっこやうんちやトイレットペーパーを流しますね。それはトイレの穴から流れて入ってどうなると思っていますか。沢石小学校では,床の下や地面の下を通ってランチルームへの通路脇にある浄化槽という地下のタンクに入っていきます。そのまま川に流してしまったら大変なことになりますからね。そのタンクの中には,バクテリアとか細菌とか言われる小さな小さな生き物,微生物が入れられているんです。このたくさんの生き物たちが真っ暗なタンクの濁った水の中で,おしっこやうんちや水に溶けたようでも細かくなっただけのトイレットペーパーをせっせと食べてくれているんです。おしっこやうんちやトイレットペーパーを食べた微生物の体からは,人間にあまり害の無い物しか出てきません。ありがとうと言いたくなりますね。

 タンクに入った,汚れて濁った汚い水は飲めはしないけど,透明で臭いもない,きれいな水になって出てきます。そして小川を流れ,移川に流れ込んでいくのです。三春町内はたくさんの家のトイレや台所の汚れた水を全部下水道という地下の大きな管,パイプで集めて桜川の近くにある三春水環境センターできれいにしてから桜川に流しています。巨大な浄化槽タンクのようなものですから,沢石小学校と同じく小さな生き物におしっこやうんちやトイレットペーパーを食べてもらっているのですね。そして,移川の水も桜川の水も,郡山市を流れている阿武隈川に流れ込んで,最後は海に辿(たど)り着きます。

 小さな生き物たちの働きぶりを考えると,小さな生き物が神様のように思えてきませんか。だから,私はトイレの穴の先の暗闇に小さな生き物という神様がいるように感じるんです。だから,心を込めてトイレをきれいに掃除することが小さな生き物にありがとうの気持ちを伝える事になるので,きっと良いことがあるような気がするのです。

 目に見えないような小さな生き物が,食べ物としての人間のうんちを喜んで食べてくれる神様みたいだよということ。そして,トイレが小さな生き物という神様がいる浄化槽タンクにつながっているので,きれいに掃除することはお礼の気持ちを表わす素晴らしいことだよという話でした。