校長室だより「自立の丘」№51 令和7年2月6日発行
2025年2月6日 09時26分◆ 食べ物を大切にする意味
恵方巻きのシーズンが終わりました。今年、食品ロスの問題は、どうだったのかなと気になります。考えてみると、食べ物は全て「命」であると思います。ですから、何気なく言葉にしている食事の挨拶について、子ども達によく考えてほしいと願って、こんな話をしました。
食べることは命を戴(いただ)くということ
みんなは、食事の時に「いただきます」と言いますね。どうしてですか。そうですね。食事を作って下さった方に感謝の気持ちを伝えるあいさつですね。でも、もう一つ意味があるのです。「いただく」は「自分よりも上のものとして高く差し上げる」という意味もあるのです。つまり、「いただきます」のあいさつは、食べ物自体を有り難いものだと言葉にして感謝することでもあるのです。でも、どうしてでしょうか。それは、食べ物についてじっくり考えると分かってきます。
食べ物は、すべて「植物」と「動物」を合わせた「生き物」、言い換えると「命」なのです。ちょっと考えてみましょうか。そのものや材料が生き物ではない食べ物ってないでしょう。お米は稲という植物だし、パンや麺の材料の小麦粉は麦という植物です。野菜も植物。植物は命ですよね。魚や肉は本当に動いていた動物で命です。
つまり、命のお陰で人間は生きていられるんですね。私たちは普段あまり考えていないけれど、食べるものとしてお店に並んでいるものや食事としてテーブルの上に並んでいるものは、すべて人間が生きるために命を差し出してくれた生き物なんです。そう分かると、無駄にしたり、好き嫌いをしたりするといけないのだなと思いますよね。生き物の命である食べ物を大切に食べてあげなくちゃと思うでしょう。だから、「食品ロス」といって、食べ物が捨てられる映像がテレビなどで流されると悲しくなってきます。
日本人は、人間のために命を差し出してくれた生き物を自分の頭の上に高く差し上げて、感謝の気持ちよりももっと大きな自分より「尊いもの」という尊敬の気持ちを「いただきます」というあいさつに込めているのです。素晴らしいですね。
そして、食べ終わった後は「ごちそうさま」というあいさつをしますね。これは、今度は食べ物を準備してくれた人や作ってくれた人への感謝のあいさつです。「ご馳走」とは「馬を走らせたり自分が走り回って準備したもの」という意味です。「そんなに努力してまで準備してくれてありがとう」という意味なんです。日本人は生き物の命を「いただく」、準備してくれた人に感謝して食べ物を「ごちそう」と呼んで言葉にしてきたのです。
これからの最初の食事は、家に帰っての夕食になりますよね。「いただきます」と言いながら、心では生き物の命に「ありがとう」と言ってくださいね。また、「ごちそうさま」は料理してくれた方に言ってくださいね。