校長室からお届けします

校長室だより「自立の丘」№40 令和6年9月6日発行

2024年9月6日 12時40分

◆ 芸術の秋第1弾 “狂言”公演
 文化庁主催「学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業」による,大蔵流「狂言」公演が昨日,本校体育館で行われました。中郷・中妻・御木沢小の高学年児童もいっしょに鑑賞しました。また,数名の保護者や地域住民の方にも鑑賞いただきました。
 大蔵基誠(もとなり)氏が率いる4名の能楽師狂言方による,狂言の定番「附子(ぶす)」と「柿山伏」(小6国語の教科書に掲載)が体育館のステージに作られた能舞台上で上演されました。少し難しい言葉遣いであるにもかかわらず,子どもたちは前もって説明を受けたように言い方や所作によって何となく面白さを理解していました。ほほ笑んだり,少し笑いながら楽しく古典芸能の世界を堪能していたようです。
 後半は,子どもたちの狂言体験教室でした。「菌(くさびら)」という演目の中で,庭に突然生えてくる,たくさんのキノコ役を13名の子が体験しました。正しい座り方や立ち上がり方,お辞儀の仕方も教えていただきました。子どもたちの鑑賞態度も褒めていただき,大変楽しいひとときとなりました。

◆ 理科自由研究は学ぶ力を高める
 2002年に京都市立堀川高校で起きた『堀川の奇跡』という出来事をご存じでしょうか。堀川高校で「探究科」という教科を新しく設置したところ,すぐに国公立大学現役合格者数が前年の6名から106名に急増したという出来事です。以来20年以上,毎年30人以上を京都大学に現役合格させ続けていますので,間違いなく「探究科」での学習が生徒の学力を引き上げていると言えるのではないでしょうか。探究科は,夏休みの理科自由研究と同じように自分でテーマを決めて1年間をかけて自主的に調査研究を進めていく教科です。自分から進んで学び続ける気持ちが重要なのです。
 小学校の理科自由研究は「進んで学び続ける気持ち」の素地を身に付けるのに相応(ふさわ)しいと考えて,子どもたちに奨励しました。その結果,子どもたちは期待以上の頑張りを見せてくれました。全校児童の7割にも及ぶ25名が自由研究に取り組んでくれたのです。これは驚くべきことで,私にとっても初めてのことです。自由研究は,保護者の皆様のご協力が不可欠の学習だと承知しております。子どもたちを誇りに思うと共に,皆様に深く感謝申し上げます。将来の研究者も期待しています。

校長室だより「自立の丘」№39 令和6年8月27日発行

2024年8月29日 12時07分

◆ 実りの秋のスタート
 昨日の「はじまりの会」で「豊かに実る」ことについて,こんな話をしました。

 昨日で長い37日間の夏休みが終わり,今日は,また授業が始まる日です。夏休みに4つのチャンスを生かすように話しましたが,どうでしたか。『学習』『挑戦』『家庭の仕事』『地域の行事』の4つのチャンスでした。夏休みで付けた力を生かして自分をぐんと伸ばすのが,これからですから,がんばっていきましょう。
 去年は,泥の中から栄養を吸い上げて真っ白なお米を実らせる田んぼの稲の話をしましたが,今日は校歌3番にある「稲穂のように豊かに実る」という歌の言葉についての話をします。校歌3番では,「沢石の子は,稲の穂みたいに充分に育とうね」と謳っています。では,「稲の穂みたいに」とは,どういう意味なのでしょうね。
 じつはこんな言葉があります。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」(稲の穂は,その実つまり,お米が大きく重くなればなるほど,穂先が低く下がっていくように,人も学んで知っていることや出来ることが増えたり,色々な事を体験した素敵な人ほど,偉そうな態度をしないので頭を下げているみたいだ)という言葉です。みんなの周りにも,何でもよくできる人が偉そうにしないのに対して,ちょっぴりできる人の方が偉そうにしているなんてことがありませんか。沢石の子には稲穂のように自分自身が学ぶことや色々な事を体験することに全力を尽くして,頭にも心にも力を付け,他の人に優しく出来るようになって偉そうにしない人になって欲しいと思います。
 今日から夏休みで止まっていた授業が始まります。前期の始業式にみんなは自分のめあてを立てたはずです。でも,それが自分にとって良いめあてとなった人ばかりではないと思います。いつの間にか忘れてしまった人もいるかも知れません。そこで,自分の学校生活のめあてを確かめたり,見直したりして下さい。めあてに向かって頑張る事は,稲が力いっぱいに根から栄養や水を吸い上げて米を実らせていくことと同じです。実りの秋のスタートを今日,切りましょう。

◆ 芸術の秋もスタートします

  芸術鑑賞教室第1弾が9月4日(水)に本校の体育館で行なわれます。保護者や地域の方も自由にご覧ください。9時20分開演,11時10分閉演です。その後には本校児童による狂言体験教室も行なわれます。第2弾は11月20日(水)合唱団公演の予定です。
  大 蔵 流 狂 言   演目:「附子(ぶす)」「柿山伏」

校長室だより「自立の丘」№38 令和6年7月19日発行

2024年7月19日 13時48分

◆ 夏休みで元気を取り戻そう
  いよいよ夏休みです。今日のふり返りの会で次のように子どもたちには話しました。
 ゆったりとした気持ちで過ごし,心と身体の元気を取り戻してほしいと思います。

 明日から37日間の長い夏休みが始まります。楽しみだね。考えてみると,休み中の土曜日や日曜日も入れると,休み前に学校に来た71日間の半分以上の日数が夏休みの期間です。やる気のある人が何かを積み重ねると,夏休みには,きっとすごい事ができるような気がしますね。夏休みは,皆にとって『チャンス』なのです。

 まず第一に,学校の授業は休みなので,新しい学習が進められるという事はありません。よく身に付いていない学習をやり直したり,学習した事を確かめたりすれば,休み明けの学習をすらすら出来るようになります。学習がちょっと皆より遅れたなと感じている人には追い付く『チャンス』です。

 第二には,長い夏休みにしか出来ない学習に取り組む事が出来ます。長い時間をかけて生き物とか草花をじっくり観察したり,不思議だなと思ったことを実験で確かめたりして理科の自由研究に挑戦する事や,普段よりも長い作文に取り組む事,いつもより厚い本を読む事,読書感想文に挑戦する事などです。つまり,普段「やらされているなあ」と感じている学習に対して自分から挑戦して見返してやる『チャンス』です。

 第三には,家族のためになる家庭の仕事を,学校がある日よりも多くする事ができます。そうすると,家族に喜んでもらう事ができ,家庭を幸せにする役割を果たす事ができます。つまり,お手伝いではなく家庭の仕事の一つを任せてもらうこと「家事の分担」をするのです。学級で配る『夏休みの生活』というプリントにも「お手伝いをしましょう」ではなくて,「仕事を決めて毎日続けよう」となっているはずです。食器の片付けでもお風呂掃除でも良いので心を込めてやりましょう。仕事の事を英語でJobと言いますが,家の人にGood Job(いい仕事してますねえ)と言われるかも知れませんよ。家族に認めてもらえる『チャンス』です。

 最後は地域の行事です。私は小学校6年生の時の夏休みに地区の盆踊りの太鼓演奏に挑戦しました。7月の初め頃に地区の青年団のおじさん達から「8月15日の盆踊りで太鼓を叩いてみないか」と言われたので,友達何人かとやってみることにしました。夏休みに入ると練習が始まりました。毎日,夜の6時から8時までの2時間,公民館で青年団のお兄さん達に小太鼓を教えて貰いました。立ち続けて太鼓を叩き続ける練習は辛かったのですが,盆踊り本番の子どもの時間が6時から8時の2時間なので,それをやり遂げる為でもあると励まされて休まずに頑張りました。本音を言うと,練習終わりにいただける,菓子パンと牛乳が楽しみで頑張ったように思います。その甲斐あってか,練習の最後の頃には大太鼓も交代しながら叩かせて貰うようになりました。

 8月15日の本番がやってきました。たくさんの地域の皆さんや多くの友達が盆踊りの輪をつくる中心の「やぐら」の上で太鼓を叩くのは最高でした。やって良かったなあと思いましたし,「自分は,やれば出来るんだ」と,その後の生活の自信が付いたように感じました。沢石地区でも今年は盆踊りが復活するそうです。地区の行事があるときには,なるべく参加して欲しいなと思います。これが4つめのチャンス「地域の行事」です。長い夏休みには,たくさんの『チャンス』があるのですね。

 さあ,明日からの夏休み,チャンスを生かすかどうかは自分次第です。4つのチャンス「学習」「挑戦」「家庭の仕事(Job)」「地域の行事」を是非生かして下さい。

校長室だより「自立の丘」№37 令和6年7月8日発行

2024年7月8日 13時24分

◆ 夏休みは “ 小さな科学者 ” に
 あと2週間で夏休みがやってきます。夏休みは期間が長いので,学習が遅れている子には挽回するチャンスですが,ドリル学習(繰り返しの学習)等で身に付く,目に見える「学力」の向上は期待できません。そこで夏休みの「提出を義務づける学習」の宿題は減らし,「理科自由研究」を推奨します。最近重視されている,子どもの非認知能力(テストでは分からない「やる気」「自信」「粘り強さ」「気づく力」など)の向上を願ってのことです。家族のアドバイスや手助けは増えると思いますが,有意義な夏休みのため,ご協力よろしくお願いします。

 私は,夏休みが近づいてくると決まって,多くの小学生が理科の自由研究にチャレンジしてくれたら,うれしいなあと思います。それは,小学生の理科自由研究について,こんな話を聞いたことがあるからです。

 今から14年前の2010年(平成22年)のことです。千葉県のある小学4年生の男の子が夏休みの理科自由研究をやっていました。研究テーマは「アリジゴクの研究」です。アリジゴクとはウスバカゲロウという空を飛ぶ昆虫の幼虫で,成虫に成るまでは,土の中にいて落とし穴のような巣を作り,うっかり落ちてくるアリを食べて生きています。その穴が,食べられてしまうアリにとっては,まるで地獄のようなので,幼虫はアリジゴクと呼ばれています。乾いた砂を入れた入れ物に捕まえてきたアリジゴクを入れて,1週間に1匹,アリを入れて食べさせれば,簡単に飼うことが出来るので,理科自由研究では昔から多くの小学生がテーマとして選んでいました。

 男の子が,ある日,飼っているアリジゴクの体の写真をアップで撮ろうと白い紙の上に置きました。しばらくすると,紙に少しだけ黄色い液体が付いていることに気が付きました。「まさか,おしっこなのかな?」10年前の昆虫図鑑には「アリジゴクは糞や尿(おしっこ)をしません。お尻の穴も塞がっています。」と書いてあったので驚いたのです。男の子は確かめようと,10匹のアリジゴクを白い紙の上に置きました。そして3時間後には,そのうち4匹のお尻のところに黄色い液体が付いていたそうです。男の子は,「アリジゴクは糞をしないけれど尿(おしっこ)はする」という研究をまとめました。

 世の中の人が皆思っていた常識と違うことだったので,新聞にも載り,テレビでも放送されました。それまでアリジゴクを研究した何人もの全国の小学生誰もが,気づかなかったことです。もしかすると気づいても「図鑑に書いてあるから,おしっこじゃないな」と思ってしまったのかも知れません。その後,黄色い液体はアリジゴクの尿(おしっこ)であることが科学者の研究によってはっきりしました。一人の小学生の自由研究が科学の常識を変えたと言っても良いのかも知れません。4年生の男の子が「小さな科学者」になったとも言えます。

 当たり前だと言われていることや不思議だと思ったことを実際にやって確かめてみる事が出来る学習。それが夏休みの理科自由研究なのです。自分で考えて自分で研究を進めていくので,どんどん考える力を付けることが出来ます。おまけにステキな発見が付いてくるかも知れません。自由研究が夏休みの一番の思い出になることもあります。先生方やお家の方と相談したり,科学に関する本を読んだりして,今のうちに計画を立ててください。担任の先生から理科自由研究の手引きを頂けます。ぜひ,今年の夏休みは,みんなが小さな科学者になるチャンスを生かすため,多くの子が自由研究に取り組んでほしいと思います。

校長室だより「自立の丘」№36 令和6年6月10日発行

2024年6月11日 08時42分

◆ 初の合同修学旅行
 先週の6月6日・7日に5・6年生12名が修学旅行に行ってきました。今回は初の試みとして中妻小学校5・6年生16名と合同で実施しました。両校とも複式学級に加え,人数が少ないので集団での効果的な宿泊体験が難しくなっている状況でしたので,両校で相談して企画しました。来年は同様に複式学級である,中郷小学校も加えて3校合同で宿泊学習(いわき海浜自然の家)実施予定です。
 第1日目は,会津若松市内での見学や体験活動です。飯盛山に登り,国の重要文化財「さざえ堂」の内部を見学しました。摩訶不思議な造りのお堂で二重構造のらせん階段を体験しました。その後,会津慶山焼きの工房に移動して,湯飲み茶碗を「手びねり」という手法で作りました。世界で一つの作品は,2ヶ月後に学校に届くそうです。
 昼食は鶴ヶ城会館で修学旅行生向けのランチです。会津の郷土料理「わっぱ飯」にトンカツや唐揚げ,デザートなどが付いており,全員が満足したようです。その後,会津藩最後の家老,西郷頼母の屋敷を移転して公開している会津武家屋敷を見学して,宿泊先の会津自然の家に入りました。
 ベッドメイキング(2段ベッドの寝床準備)をして,ビュッフェ形式の夕食後は,ナイトハイクです。中妻小と合同の7人グループになって,懐中電灯だけを頼りに暗い夜の森を探索しました。自然の家の職員が,その日一日中,熊追い(ナイトハイクコースに熊を近づけない処置)をして下さっていたそうで,安心して取り組めました。
 第2日目は,4人グループに会津若松市内の街歩きです。見学や起き上がり小法師つくり等の体験活動をしながら,自分たちで選んだ店で昼食を摂り午後2時に集合場所の鶴ヶ城会館に無事全員が集まりました。

◆ 小学校の修学旅行
 小学校の修学旅行は,実は必須の学校行事ではありません。中学校は入学から卒業までの間に宿泊を伴う修学旅行,林間学校,臨海学校などのいずれかを行なうことになっていますが,小学校は集団宿泊をして文化や自然体験をすることで子供同士の関係を深めることが推奨されています。今回の修学旅行の終わりに,ある男の子に「最も心に残ったのは何?」と訊いたところ「ナイトハイクで皆と歩いたこと」と答えていました。私の50年前の会津への修学旅行の思い出が,あまり無いのも,当時は物見遊山的な「旅行」だったからかも知れません。ですから,宿泊学習の要素をなるべく多くして実施しているのが,小学校の修学旅行なのです。

校長室だより「自立の丘」№35 令和6年6月5日発行

2024年6月5日 10時08分

◆ 思いやりは つながる~『情けは人のためならず』~
 身の回りに起きた小さな出来事から先人の残した教訓を思い出すことがあります。誤解
して理解していることの多い諺(ことわざ)について子どもたちに分かりやすく話しました。

『情けは人の為(ため)ならず』という「ことわざ」があります。どんな意味だと思いますか。「情け」とは「人の情けを知って涙が出る」のように「優しさ」とか「思いやり」のことです。そうすると「優しくすることは人のためにならない。却って,厳しくする方がその人が成長することになるのでよい」という意味になってしまうのでしょうか。

 この前の日曜日にこんなことがありました。私はホームセンターにボールペンの替え芯が欲しくて買い物に出かけました。ボールペンの替え芯を1本,手に取るとレジに並びました。日曜日なのでレジにはカゴにたくさんの品物を入れた人たちが長い列を作っていました。みんな自分の前の人のカゴの中身のたくさんの品物を見て,いやそうな顔をしています。よほど忙しいのか,みんな少しでも早くレジでの会計を終わらせたいと思っているようでした。

 ずいぶん長い時間が経って,ようやく私の前に並んでいる人が一人のおばさんだけになりました。カゴには洗剤やらスポンジやら,たくさんの品物がいっぱい入っていました。私は,レジでの会計が終わるには,さらに多くの時間がかかるだろうなと覚悟しました。その時です。そのおばさんが,ちらっと私の手の1本だけのボールペンの替え芯を見て,こう言いました。「お先にどうぞ」と。私はびっくりしました。おばさんも長く待ってイライラしていたはずなのに,1つの品物の会計が終われば,すぐに帰れる私のために順番を譲ってくれたのです。私はお礼を言うとレジでの会計を済ませて,うれしいことに考えていたより早く店を出ることができました。

 私は,家に帰る車の中で考えました。「優しい人もいるものだな」と。また同時に思い出しました。実は去年,私は逆のことをしたことがあったのです。全く違うスーパーマーケットのレジで,私の後ろに並んでいたおじさんが,果物を1袋だけ持っていたので,この前の日曜日のおばさんのように順番を譲ったことがあったのです。それを思い出したら,まるで優しさが巡り巡って自分に戻ってきたような気になりました。こんなことを表した「ことわざ」が『情けは人の為ならず』なんです。

 「人に優しくしてあげるということは,その人のためではなくて巡り巡って自分に返ってくるから結局は自分のためになり,優しさの溢(あふ)れる世の中になるんだよ。」というのが,その意味なんです。人に優しくすると,優しくされた人は,その他の人に優しくします。そうして優しさは社会に広がり,みんなが互いに思いやる住みよい社会になっていくのです。「優しさ」って,すごい力を持っている思いやりの心だと思いませんか。学校みんなの教育目標の一つ「つながり合う」ためには,そんな優しさや思いやりのある素敵な心を持つことが大切です。自分に優しく接してくれない人がいたら,逆に優しくすると,その人の心が優しい素敵な心に変わってくれるかも知れません。イソップ童話の『北風と太陽』のような感じです。まずは学校,そして沢石地区,三春町を優しさでつながる社会にしましょう。

校長室だより「自立の丘」№34 令和6年5月16日発行

2024年5月17日 13時37分

◆ トイレには神様がいる
 子どもの中には,学校でトイレ(特に大便)に行くことを恥ずかしがって我慢することで便秘症になってしまう者がいるそうです。全校集会で,トイレやトイレ掃除のイメージアップを願って次のような話をしました。

 みんなは,『トイレの神様』という歌を知っていますか。(♪トイレの神様〈植村花菜〉を聴かせました。)この歌は「トイレには美しい女神様が目に見えないけれどいるので,綺麗に掃除すると女神様が喜んで,その掃除した人を美人やかっこいい人にしてくれるよ」という歌です。しかし,本当の意味は,誰もが嫌がる汚い場所を一所懸命に掃除する人は,気立てが良いと言って心の美しい人,つまり思いやりのある優しい人になれるよということなんです。だから,本当に神様がいるわけじゃないのかも知れませんね。でも私は別の考え方でトイレには本当に神様がいると思っているのです。それはこれから話すことで分かってもらえると思います。

 みんなは,学校のトイレにおしっこやうんちやトイレットペーパーを流しますね。それはトイレの穴から流れて入ってどうなると思っていますか。沢石小学校では,床の下や地面の下を通ってランチルームへの通路脇にある浄化槽という地下のタンクに入っていきます。そのまま川に流してしまったら大変なことになりますからね。そのタンクの中には,バクテリアとか細菌とか言われる小さな小さな生き物,微生物が入れられているんです。このたくさんの生き物たちが真っ暗なタンクの濁った水の中で,おしっこやうんちや水に溶けたようでも細かくなっただけのトイレットペーパーをせっせと食べてくれているんです。おしっこやうんちやトイレットペーパーを食べた微生物の体からは,人間にあまり害の無い物しか出てきません。ありがとうと言いたくなりますね。

 タンクに入った,汚れて濁った汚い水は飲めはしないけど,透明で臭いもない,きれいな水になって出てきます。そして小川を流れ,移川に流れ込んでいくのです。三春町内はたくさんの家のトイレや台所の汚れた水を全部下水道という地下の大きな管,パイプで集めて桜川の近くにある三春水環境センターできれいにしてから桜川に流しています。巨大な浄化槽タンクのようなものですから,沢石小学校と同じく小さな生き物におしっこやうんちやトイレットペーパーを食べてもらっているのですね。そして,移川の水も桜川の水も,郡山市を流れている阿武隈川に流れ込んで,最後は海に辿(たど)り着きます。

 小さな生き物たちの働きぶりを考えると,小さな生き物が神様のように思えてきませんか。だから,私はトイレの穴の先の暗闇に小さな生き物という神様がいるように感じるんです。だから,心を込めてトイレをきれいに掃除することが小さな生き物にありがとうの気持ちを伝える事になるので,きっと良いことがあるような気がするのです。

 目に見えないような小さな生き物が,食べ物としての人間のうんちを喜んで食べてくれる神様みたいだよということ。そして,トイレが小さな生き物という神様がいる浄化槽タンクにつながっているので,きれいに掃除することはお礼の気持ちを表わす素晴らしいことだよという話でした。

校長室だより「自立の丘」№33 令和6年4月25日発行

2024年4月26日 10時19分

◆ 夢や目標を実現するためには・・・
 夢や目標を持つことができても,考えてばかりいては虚(むな)しい空想に終わってしまいます。まずは,行動することが大事だと思い,全校集会で次のような話をしました。

 アメリカのメジャーリーグで大活躍中の大谷翔平選手は,『メジャーリーグで優勝して世界一になる』という自分の大きな夢を叶えるために早くからいくつかの目標を決めて実際に頑張ってきたそうです。

 まずは,高校1年生の時,「日本の立派なプロ野球のピッチャーになる」という大きな目標を立て,そのために必要な小さな目標を8つ立てました。その8目標毎に8つの計画を立てました。そして,合計64個の計画を考えて3年間取り組みました。もちろん,ピッチャーとしての実力を付けるための計画がほとんどですが,中には「それってプロ野球選手になることに関係あるの?」という計画があります。例えば,「あいさつをする」,「本を読む」,「モノを大切にする」なんてものまであります。そして,最近はたくさんのお金を信頼していた人に盗まれるということがありました。それでも,何事もなかったように活躍していることがすごいと思いませんか。調べて見ると,64個の計画の中に「ピンチに強い人になる」というものがありました。思うとそんな風になれるのだなと感心しますし,勇気を貰ったように感じました。

 夢を叶えたり,目標を達成したりするためには,「何かをやってみよう」とか「何かを続けてみよう」と計画を立てることが大事なんです。計画を立てなければ,どんな人でも,何もしないまま,ボーっとして過ごしてしまいがちです。学校にも目標があります。沢石小学校では,みんなが卒業までに「何でもよく分かり,どんなことでも独りで出来る子ども」になること,『自立』を最高の目標として,3つの目標を決めています。「自ら学び続ける子ども」(知育)「自らつながり合う子ども」(徳育)「自ら身体をつくる子ども」(体育)です。学習だけでなく,学校や家庭でのいろいろなことが『自立』できることにつながっていきます。

 「これからやってみよう」とか「続けてみよう」ということを多く決めて実行しましょう。学校での計画に加えて,家庭での計画,例えば土曜日や日曜日に食事の後片付けを手伝おうでも良いし,トイレを掃除しても良いし,1日30分間,本を読むでも良いです。そうすれば,自分の夢や目標にちょっと関係ないことかなと思っても,大谷選手のように,ちゃんと関係してくるかも知れません。どんな小さなことでも良いですから,一人一人に合った,一人一人違った多くの計画を立て,続けることを期待しています。続けることは大切で,しかも難しいことなのです。でも,まずは一歩目を踏み出しましょう。

校長室だより「自立の丘」№32 令和6年4月15日発行

2024年4月16日 13時23分

◆ 満開の滝桜に会える幸せ
 滝桜見学は2年目にして,絶好のタイミングとなりました。先週の金曜日,全校生36名は,満開の見頃を迎えた滝桜に会うことができました。花曇りの天気とはいえ,風がなかったので,充分に滝桜の慈愛に満ちた圧倒的な存在感を満喫することが出来たようです。
 開花期間だけで十数万人の見物客を集める一本桜は他には無いでしょう。そのため,車の渋滞が発生するので,かえって町民の方は,見頃の観桜ができないと耳にします。校歌の1番に「仲良く開く桜(の花)のように 心がそろう」とあります。今回,満開の滝桜を間近に見ることができた36名の全校生には,樹齢1000年を超える滝桜の花が咲きそろう姿を永く覚えていてほしいと思います。
◆ 登校することは当たり前?
 今年度は,学校が月曜日に始まったので,学校の第1週めは5日間でした。滝桜見学があったからかも知れませんが,その5日間は全校生全員が休まずに登校できました。これは当たり前ではなく,素晴らしいことです。実は,令和5年度に全員が休まず登校できたのは,授業日205日のうち38日,連続全員出席の最長は3日間で1回だけでした。インフルエンザが流行した昨年12月は1日も無かったほどです。ですから,全ての教室に全員が揃った1週間は,うれしい限りなのです。週明けの今日は月曜日です。大人でも仕事に出かけるのが辛い時もあるように,「登校」というハードルは高いものです。子どもたちも疲れが出たのか,5人が欠席でした。
 子どもの誰もが当たり前に登校するわけではないと思います。かぜ等を引いていなくても,気持ちを奮い立たせて,登校している子もいるでしょう。身体が元気なだけでなく,心も元気でないと登校できないものです。そこで,沢石小では「子どもたち同士が協力して問題を解決する授業」を『楽しい授業』と捉え,それによって,自分も友達も学校も大好きになるようにしたいと考えています。子どもの心が元気になるような『楽しい授業』を目指して,先生達は工夫を重ねています。

校長室だより「自立の丘」№31 令和6年4月10日発行

2024年4月11日 10時06分

◆ 滝桜の開花と共にスタートしました
 沢石小学校の新しい年度が,ちょうど三春滝桜の開花と共に始まりました。どの学年の子ども達も,進級したことによる「やる気」に満ちている様子が校長室にまで伝わってきて嬉(うれ)しい限りです。一方,最近では自己肯定感と言って,「自分自身を好きだ」という感情が少ない子どもがいると問題になっています。一昨日の始業式で,次のような話をしました。

1学期始業式の話

 先生達は,みんなに次の三つを大好きになってほしいと思っています。

 一つ目は,「自分 大好き」です。皆さんは自分のことが好きですか。「もっと速く走れたらいいのに…」とか「もっと勉強ができたらいいのに…」といったように,苦手なことや失敗をすると,自分のことが嫌になってしまうかも知れません。苦手なこと,出来ないことがあることも含めて自分を好きになってください。自分のことが大好きになると,色々な事に挑戦してみようと気持ちが前向きになってきます。そして,自分自身を大切にしようと思うようになります。

 二つ目は,「友達 大好き」です。自分を大切にできる人は,友達のことも大切にするようになります。時にはケンカをすることもあるでしょうが,友達を大切にすることで,自分が困ったときに助けてもらったり,反対に自分が友達のことを助けてあげたり出来ます。得意,不得意は人によって様々ですが,そうやってお互いがお互いを認め,支え合うことで,独りでは難しいことにも沢山挑戦できるようになります。

 最後の三つ目は,「学校,沢石地区 大好き」です。学校やこの沢石地区のことを大好きになってください。学校のことが好きになると,心も身体も伸び伸びと元気になります。みんなが,いつも元気に楽しく,安心して学校に来られるように,先生達だけでなく地域の方々も見守ってくれています。皆さんは地域の方々に守られ,育てられています。そんな学校や沢石地区のことをどんどん好きになってほしいと思います。

 たくさんの「大好き」で,一人一人が新しい一年を楽しく元気に過ごし,素敵な大人に向かって成長していってほしいと思います。一緒に頑張りましょう。