校長室からお届けします

校長室だより「自立の丘」№45 令和6年11月7日発行

2024年11月8日 08時30分

◆ 走ることって素晴らしい
 持久走やマラソンは辛いものですが,実は素晴らしい効果がたくさんあります。子どもたちが少しでも前向きになるように全校集会で話をしました。

 今,どの学年も持久走の練習に取り組んでいますね。素晴らしいことです。でも,中には「長い距離を走ったり,長い時間走るのは,辛いなあ」とか「いやだなあ」とか思っている人がいるんじゃないかな。でも,走ることは,良いことにもつながるので頑張ってほしいと思っています。どんな良いことがあるのでしょうか。

 実は,みんなのおじいちゃんやおばあちゃんの世代の人は,足の速い人を「まるで韋駄天のような人だね」とか「韋駄天のように走るね」とか言ったりします。実は,韋駄天とは,お寺を守る神様の一人なんです。大昔,仏様の大切なものを足の速い鬼が盗んで逃げようとしたところを,鬼よりも速く走って捕まえて,大切なものを取り戻したと言われています。そこで,韋駄天は泥棒が来ないようにしてくれる神様になり,足が速い人のお手本になったというわけです。そして,もう一つ素晴らしいことがあって,子どもが病気にならないようにしてくれる神様でもあると言うんです。これには思い当たることがあります。走ることは,みんなの肺や心臓を強くしてくれます。走ると息が苦しくなったり,胸のドキドキが速くなったりするでしょう。これは,息をするための肺や足に力を送るための心臓が強くなっていくために必要なことです。だから,健康な体になるので,病気になりにくい体になるんです。足が速いことと関係があるんですね。

 韋駄天という神様と関係がないことでも走ることの良さがあります。子どもが走ると背が伸びるんです。子どもの体中の骨は,走ったときのジャンプの揺れがスイッチとなって骨が伸びるんだそうです。だから,3歳から5歳くらいの小さい子は,自分で走ろうと思わないでも,脳が早く育ちたいと思っていて,体が勝手に動いて走ってしまうそうです。子どものうちがチャンスですよ。走ると健康になるし,背も伸びるかもしれない。だから神様に関係があるというように感じて,昔の人は韋駄天を大切に考えたのかもしれませんね。

 持久走は走らなければ絶対に速くなりません。走れば必ず速くなります。そして練習をやり遂げたり,走りきった時の何とも言えない,良い気持ち「達成感」を感じることが出来ません。弱い自分に打ち勝つことが出来るのも持久走の良いところです。残りの練習を本気でやって少しでも自分の記録を縮めましょう。そして同時に,「自ら身体をつくる子ども」,つまり自分から身体を鍛えてつくる沢石の子どもになりましょう。

校長室だより「自立の丘」№44 令和6年10月18日発行

2024年10月21日 13時14分

◆ 再スタートは大チャンス  ~ 期分けの式の話 ~
 人は誰でも物事に慣れてくるとスムーズにできるようになる反面,やる気が少なくなるものです。2学期の始まりをきっかけに,もう一度,学年スタートの頃の気持ちを思い出させたいです。

 みんなは,4月に入学したり新しい学年になったりして,やる気満々でスタートしましたよね。でも,だんだん疲れてきたり,同じことを繰り返したりして,やる気や元気が足りなくなっている人はいませんか。こういうことは,スポーツの世界でもよくあって,シ-ズンの後ろ半分の時期になると,活躍が少なくなる選手が多いんです。でも,最近,最後まで大活躍をして,すごい記録を残している野球選手がいますね。そう,アメリカ合衆国メジャー・リーグの大谷翔平選手です。
 大谷選手が他の選手と違うところの一つに,睡眠時間の多さがあるそうです。何と,毎日10時間くらい眠っているのだそうです。だから,毎日の試合の疲れを次の日に残さずに最後まで活躍できるのだなあと分かりました。
 睡眠は,身体の疲れを取って,病気にならないようにする,たった一つの方法です。私も「ちょっと疲れたなあ」と思ったときがあっても睡眠時間7時間のそれまでの生活を続けていて病気になっちゃたことがありました。でも,治った後に,ちょっと疲れたなとか,調子悪いなとか感じたときに午後9時に寝て10時間くらい眠るようにしたら,次の日には元気になっていて,病気になることも殆どなくなりました。また,病気の時に薬を飲むと思いますが,たくさん眠らないと薬がなかなか効かないんです。
 さらに,睡眠は私たちの脳にとっても大切な役目を果たしています。私たちの脳は,心臓と同じで毎日24時間働き続けています。心臓は一生動き続けることができるのですが,脳は,その人が10日間くらい眠らないと限界を迎えて働くことができなくなり,意識を失ってしまうそうです。ですから,脳を休憩させるためにも充分に眠ることが大切なんです。10時間くらい眠っている大谷選手の脳はしっかり休憩しているので,次の日の試合の時に,考える力も集中力もフルパワーなのかも知れませんね。
 来週からの残り半分の学校生活を何となく過ごさないで,身体も心も元気で頑張るために,自分の眠る時間を見直しましょう。早めに眠るように変えると,きっと良いことがあると思いますよ。また,やる気や元気が出てくると,なりたい自分に少しでも近づくために自分の何かを変えようとして,新しい一歩を踏み出そうとする気持ちが生まれるものです。沢石小36名全員の素敵な残り半分の学校生活になることを期待してます。

校長室だより「自立の丘」№43 令和6年10月10日発行

2024年10月18日 12時26分

◆ もうすぐスポーツ・フェスタ
 健康な身体をつくると共に運動に親しもうとする気持ちを高めるために行うスポーツ・フェスタですが,友達との絆を深めて欲しいと願い,子ども達に次のような話をしました。

 今から5年前に私の従兄の息子さんS君が結婚式を挙げました。とても心温まる結婚披露宴が行われ,私も参加していました。披露宴の最後にお婿さんS君のお父さんである,私の従兄がお礼の言葉を話し始めました。その中に,こんな話がありました。

 息子のSは小学校の時から,ずっと大きくなるまで賞状をもらうような「賞」という物を何ももらったことがない子どもでした。小学校の運動会でもそうで,足が遅くて3等賞までに一度も入ったことがありませんでした。でも一度だけ大チャンスがあったんです。  

 小学校最後の6年生の運動会のことでした。その時は個人競走が障害物競走で,跳び箱を越えたり,大きなネットをくぐったり,平均台を渡ったりする種目でした。息子のSの順番がやってきました。スタートすると,やっぱり一番最後を走って行きます。ところが,前を走っていた多くの子ども達がネットをくぐる時に引っかかってしまい,引っかかった子によって出来たネットの隙間をSがスッと抜けて,あっという間に2位になりました。後は前を行く1位の子だけです。生まれて初めての賞かも知れない。私たち家族は大声で応援しました。1位の子が最後の平均台を渡り始めました。ところが渡り終えるところで何と転んでしまったのです。すぐには起きられないようでした。もう一本の平均台を渡り終えたSが1位になりました。もうあと少し走ればゴールです。家族が『やったぞ。生まれて初めての1等賞だ』と思った瞬間,Sは何を思ったか,くるっと後ろを向くと転んだ子の所へ戻り,起こしてあげているではありませんか。その間にみんなゴールしたので,結局転んだ子と二人で一番最後に仲良くゴールしました。

 息子のSは賞を獲れませんでしたが,私たち家族は1等賞目前で友達の所へ戻った息子から1等賞をもらったような気持ちになりました。優しい息子を誇りに思えたからです。今日の素敵なお嫁さんとの結婚式は,それ以来2回目の1等賞をもらったような気持ちです。

 この話を初めて聞いた隣のお嫁さんは感激して,涙を流しながら聞いていました。優しい人は優しい人と惹かれ合って結婚するんだなあと思いました。

 スポーツ・フェスタは,その練習の中や当日のスポーツ・フェスタで,体を鍛えて健康になるばかりでなく,友達と協力しながら,いろいろやり遂げていく途中で友達と絆を結び「つながり合う」ことに,ぴったりの行事です。6年生は最後の,1年生は初めてのスポーツ・フェスタで健康な「身体をつくり」,そして友達と固く「つながり合う」ことを目指して頑張りましょう。そして,勝ち負けだけでなく,友達の素敵だなとか頑張ってるなとか,そんな姿が見えたときには,大きな声で応援をして下さい。

校長室だより「自立の丘」№42 令和6年9月24日発行

2024年9月25日 12時47分

◆ 男女混合4×100mリレー初制覇
 以前は市町村ごとに行われていた「陸上競技大会」が,田村地区3市町の6年生が一堂に会して実施されるようになって5回目を迎えました。今年は,田村地区内に川内小中学園を含めて15校から462名が田村市陸上競技場に集い,9月20日に開催されました。
 陸上競技は基本的に個人競技です。7名の6年生はとても頑張り,大人数の他校に臆することなく,銀メダルや入賞を獲得するなど,大活躍でした。特に唯一の団体種目である男女混合4×100mリレーは初めての優勝を獲得しました。リレーはチームワークが大切で,オリンピックチームでもバトンパスの失敗をしてしまう位の難しさです。沢石小チームはレースを常に支配して貫禄の1位という様子でした。小さな学校の大きな力を田村地区内に示してくれました。
 でも,最もうれしかったことは,7名全員の「一生懸命さ」が常に見られたことです。今話題の大谷翔平選手が少年野球の監督である父親から励まされたことの一つが「一生懸命走る」とのことです。この「一生懸命さ」が子どもたちの未来を開くことにつながるだろうと幸せな気持ちになった陸上競技大会でした。

◆ 最後の鼓笛隊にぜひ地域の方も…

 昭和41年(1966年)に鼓笛隊の楽器を購入して始まったと思われる沢石小鼓笛隊の最後の演奏が,10月26日(土)のスポーツ・フェスタ(運動会)で行われます。例年は開会式前に演奏していましたが,今年は最後なので多くの地域の方にも聴いていただきたく,来場しやすい10時頃に特別種目として全校生36名で演奏します。ご来場の上,大きな拍手を賜れば幸甚に存じます。

校長室だより「自立の丘」№41 令和6年9月12日発行

2024年9月13日 10時09分

◆ 読書のススメ ~読書は頭と心の栄養~
 本を読むと,とても素敵な効果がもたらされます。読書に適した秋を迎えるので,全校集会で次のように話をしました。

 私の友達のY君の話をします。Y君は山あいの小さな町に生まれました。小学校も1学年1クラスの小さな学校でした。その学校の図書室も沢石小学校と同じ位の広さです。沢石小の図書室には,物語が約2,000冊位ありますが,当時の図書室には物語が多かったので,Y君の学校の図書室には3,000冊位は有ったことでしょう。

 Y君が3年生になった4月,お母さんから「たくさん本を読むと立派な大人になれるよ」と言われていたことを思い出し,自分だけのこんなめあてを立てたそうです。「卒業までに図書室の物語を全部読もう」と。そして,図書室で放課後に本を読んだり,借りていって家で読んだりしてとうとう卒業までの4年間に全部読んでしまったそうです。4年間で3,000冊,1年間では750冊読んだことになりますから,毎日2冊位ずつ読み続けたことになりますね。私は驚きました。すごいなあと感心しました。

 Y君は,その後,郡山市の一番有名で成績が良くないと入れない高等学校に進み,大学を卒業して先生になりました。今は,ある学校の校長先生になっています。そのY校長先生は言っていました。「本をたくさん読むようになってから勉強も分かるようになったんだよ」と。確かにY先生はとても物知りで話をしていると,とてもためになる話が多いです。でもそれよりも私が感じるのは,Y先生の優しさや思いやりのある人柄です。それに惹かれて多くの友達や仲間がいます。私もY先生が大好きで,いつも会って話したくなります。本には登場人物の心の中の事も出てきますから,きっと本を読むことで,知らず知らずに優しさや思いやりも学んだんじゃないのかなと思います。つまり,本を読むことは勉強が分かることにも,思いやりのある人になることにも,つながっていくんだと思います。

 読書は「勉強が分かりやすく」もなる,「人にやさしくできるようになって友達が増える」という,頭と心の栄養みたいなものなのです。みんなも学校での読みかけの本「マイブック」を常に近くに置き,月曜日と金曜日には,学校で朝読み,家では本をたくさん借りて夕読みをしましょう。1・2年生が音読をすることも夕読みの1つです。教科書以外を音読しても良いのですよ。学校が休みの日は昼間に本を読む昼読みをしましょう。ゲームをするのは時間がもったいないです。大学の研究によると,テレビやゲームは,みんなの頭や心の栄養を吸い取ってしまうそうです。だから,せっかく本を読んでも,テレビやゲームをすると頭や心が空っぽになってしまいます。テレビやゲームをすることをやめて,本を読むことで頭と心を成長させ,みんなが立派で魅力的な大人に成長して欲しいと願っています。

校長室だより「自立の丘」№40 令和6年9月6日発行

2024年9月6日 12時40分

◆ 芸術の秋第1弾 “狂言”公演
 文化庁主催「学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業」による,大蔵流「狂言」公演が昨日,本校体育館で行われました。中郷・中妻・御木沢小の高学年児童もいっしょに鑑賞しました。また,数名の保護者や地域住民の方にも鑑賞いただきました。
 大蔵基誠(もとなり)氏が率いる4名の能楽師狂言方による,狂言の定番「附子(ぶす)」と「柿山伏」(小6国語の教科書に掲載)が体育館のステージに作られた能舞台上で上演されました。少し難しい言葉遣いであるにもかかわらず,子どもたちは前もって説明を受けたように言い方や所作によって何となく面白さを理解していました。ほほ笑んだり,少し笑いながら楽しく古典芸能の世界を堪能していたようです。
 後半は,子どもたちの狂言体験教室でした。「菌(くさびら)」という演目の中で,庭に突然生えてくる,たくさんのキノコ役を13名の子が体験しました。正しい座り方や立ち上がり方,お辞儀の仕方も教えていただきました。子どもたちの鑑賞態度も褒めていただき,大変楽しいひとときとなりました。

◆ 理科自由研究は学ぶ力を高める
 2002年に京都市立堀川高校で起きた『堀川の奇跡』という出来事をご存じでしょうか。堀川高校で「探究科」という教科を新しく設置したところ,すぐに国公立大学現役合格者数が前年の6名から106名に急増したという出来事です。以来20年以上,毎年30人以上を京都大学に現役合格させ続けていますので,間違いなく「探究科」での学習が生徒の学力を引き上げていると言えるのではないでしょうか。探究科は,夏休みの理科自由研究と同じように自分でテーマを決めて1年間をかけて自主的に調査研究を進めていく教科です。自分から進んで学び続ける気持ちが重要なのです。
 小学校の理科自由研究は「進んで学び続ける気持ち」の素地を身に付けるのに相応(ふさわ)しいと考えて,子どもたちに奨励しました。その結果,子どもたちは期待以上の頑張りを見せてくれました。全校児童の7割にも及ぶ25名が自由研究に取り組んでくれたのです。これは驚くべきことで,私にとっても初めてのことです。自由研究は,保護者の皆様のご協力が不可欠の学習だと承知しております。子どもたちを誇りに思うと共に,皆様に深く感謝申し上げます。将来の研究者も期待しています。

校長室だより「自立の丘」№39 令和6年8月27日発行

2024年8月29日 12時07分

◆ 実りの秋のスタート
 昨日の「はじまりの会」で「豊かに実る」ことについて,こんな話をしました。

 昨日で長い37日間の夏休みが終わり,今日は,また授業が始まる日です。夏休みに4つのチャンスを生かすように話しましたが,どうでしたか。『学習』『挑戦』『家庭の仕事』『地域の行事』の4つのチャンスでした。夏休みで付けた力を生かして自分をぐんと伸ばすのが,これからですから,がんばっていきましょう。
 去年は,泥の中から栄養を吸い上げて真っ白なお米を実らせる田んぼの稲の話をしましたが,今日は校歌3番にある「稲穂のように豊かに実る」という歌の言葉についての話をします。校歌3番では,「沢石の子は,稲の穂みたいに充分に育とうね」と謳っています。では,「稲の穂みたいに」とは,どういう意味なのでしょうね。
 じつはこんな言葉があります。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」(稲の穂は,その実つまり,お米が大きく重くなればなるほど,穂先が低く下がっていくように,人も学んで知っていることや出来ることが増えたり,色々な事を体験した素敵な人ほど,偉そうな態度をしないので頭を下げているみたいだ)という言葉です。みんなの周りにも,何でもよくできる人が偉そうにしないのに対して,ちょっぴりできる人の方が偉そうにしているなんてことがありませんか。沢石の子には稲穂のように自分自身が学ぶことや色々な事を体験することに全力を尽くして,頭にも心にも力を付け,他の人に優しく出来るようになって偉そうにしない人になって欲しいと思います。
 今日から夏休みで止まっていた授業が始まります。前期の始業式にみんなは自分のめあてを立てたはずです。でも,それが自分にとって良いめあてとなった人ばかりではないと思います。いつの間にか忘れてしまった人もいるかも知れません。そこで,自分の学校生活のめあてを確かめたり,見直したりして下さい。めあてに向かって頑張る事は,稲が力いっぱいに根から栄養や水を吸い上げて米を実らせていくことと同じです。実りの秋のスタートを今日,切りましょう。

◆ 芸術の秋もスタートします

  芸術鑑賞教室第1弾が9月4日(水)に本校の体育館で行なわれます。保護者や地域の方も自由にご覧ください。9時20分開演,11時10分閉演です。その後には本校児童による狂言体験教室も行なわれます。第2弾は11月20日(水)合唱団公演の予定です。
  大 蔵 流 狂 言   演目:「附子(ぶす)」「柿山伏」

校長室だより「自立の丘」№38 令和6年7月19日発行

2024年7月19日 13時48分

◆ 夏休みで元気を取り戻そう
  いよいよ夏休みです。今日のふり返りの会で次のように子どもたちには話しました。
 ゆったりとした気持ちで過ごし,心と身体の元気を取り戻してほしいと思います。

 明日から37日間の長い夏休みが始まります。楽しみだね。考えてみると,休み中の土曜日や日曜日も入れると,休み前に学校に来た71日間の半分以上の日数が夏休みの期間です。やる気のある人が何かを積み重ねると,夏休みには,きっとすごい事ができるような気がしますね。夏休みは,皆にとって『チャンス』なのです。

 まず第一に,学校の授業は休みなので,新しい学習が進められるという事はありません。よく身に付いていない学習をやり直したり,学習した事を確かめたりすれば,休み明けの学習をすらすら出来るようになります。学習がちょっと皆より遅れたなと感じている人には追い付く『チャンス』です。

 第二には,長い夏休みにしか出来ない学習に取り組む事が出来ます。長い時間をかけて生き物とか草花をじっくり観察したり,不思議だなと思ったことを実験で確かめたりして理科の自由研究に挑戦する事や,普段よりも長い作文に取り組む事,いつもより厚い本を読む事,読書感想文に挑戦する事などです。つまり,普段「やらされているなあ」と感じている学習に対して自分から挑戦して見返してやる『チャンス』です。

 第三には,家族のためになる家庭の仕事を,学校がある日よりも多くする事ができます。そうすると,家族に喜んでもらう事ができ,家庭を幸せにする役割を果たす事ができます。つまり,お手伝いではなく家庭の仕事の一つを任せてもらうこと「家事の分担」をするのです。学級で配る『夏休みの生活』というプリントにも「お手伝いをしましょう」ではなくて,「仕事を決めて毎日続けよう」となっているはずです。食器の片付けでもお風呂掃除でも良いので心を込めてやりましょう。仕事の事を英語でJobと言いますが,家の人にGood Job(いい仕事してますねえ)と言われるかも知れませんよ。家族に認めてもらえる『チャンス』です。

 最後は地域の行事です。私は小学校6年生の時の夏休みに地区の盆踊りの太鼓演奏に挑戦しました。7月の初め頃に地区の青年団のおじさん達から「8月15日の盆踊りで太鼓を叩いてみないか」と言われたので,友達何人かとやってみることにしました。夏休みに入ると練習が始まりました。毎日,夜の6時から8時までの2時間,公民館で青年団のお兄さん達に小太鼓を教えて貰いました。立ち続けて太鼓を叩き続ける練習は辛かったのですが,盆踊り本番の子どもの時間が6時から8時の2時間なので,それをやり遂げる為でもあると励まされて休まずに頑張りました。本音を言うと,練習終わりにいただける,菓子パンと牛乳が楽しみで頑張ったように思います。その甲斐あってか,練習の最後の頃には大太鼓も交代しながら叩かせて貰うようになりました。

 8月15日の本番がやってきました。たくさんの地域の皆さんや多くの友達が盆踊りの輪をつくる中心の「やぐら」の上で太鼓を叩くのは最高でした。やって良かったなあと思いましたし,「自分は,やれば出来るんだ」と,その後の生活の自信が付いたように感じました。沢石地区でも今年は盆踊りが復活するそうです。地区の行事があるときには,なるべく参加して欲しいなと思います。これが4つめのチャンス「地域の行事」です。長い夏休みには,たくさんの『チャンス』があるのですね。

 さあ,明日からの夏休み,チャンスを生かすかどうかは自分次第です。4つのチャンス「学習」「挑戦」「家庭の仕事(Job)」「地域の行事」を是非生かして下さい。

校長室だより「自立の丘」№37 令和6年7月8日発行

2024年7月8日 13時24分

◆ 夏休みは “ 小さな科学者 ” に
 あと2週間で夏休みがやってきます。夏休みは期間が長いので,学習が遅れている子には挽回するチャンスですが,ドリル学習(繰り返しの学習)等で身に付く,目に見える「学力」の向上は期待できません。そこで夏休みの「提出を義務づける学習」の宿題は減らし,「理科自由研究」を推奨します。最近重視されている,子どもの非認知能力(テストでは分からない「やる気」「自信」「粘り強さ」「気づく力」など)の向上を願ってのことです。家族のアドバイスや手助けは増えると思いますが,有意義な夏休みのため,ご協力よろしくお願いします。

 私は,夏休みが近づいてくると決まって,多くの小学生が理科の自由研究にチャレンジしてくれたら,うれしいなあと思います。それは,小学生の理科自由研究について,こんな話を聞いたことがあるからです。

 今から14年前の2010年(平成22年)のことです。千葉県のある小学4年生の男の子が夏休みの理科自由研究をやっていました。研究テーマは「アリジゴクの研究」です。アリジゴクとはウスバカゲロウという空を飛ぶ昆虫の幼虫で,成虫に成るまでは,土の中にいて落とし穴のような巣を作り,うっかり落ちてくるアリを食べて生きています。その穴が,食べられてしまうアリにとっては,まるで地獄のようなので,幼虫はアリジゴクと呼ばれています。乾いた砂を入れた入れ物に捕まえてきたアリジゴクを入れて,1週間に1匹,アリを入れて食べさせれば,簡単に飼うことが出来るので,理科自由研究では昔から多くの小学生がテーマとして選んでいました。

 男の子が,ある日,飼っているアリジゴクの体の写真をアップで撮ろうと白い紙の上に置きました。しばらくすると,紙に少しだけ黄色い液体が付いていることに気が付きました。「まさか,おしっこなのかな?」10年前の昆虫図鑑には「アリジゴクは糞や尿(おしっこ)をしません。お尻の穴も塞がっています。」と書いてあったので驚いたのです。男の子は確かめようと,10匹のアリジゴクを白い紙の上に置きました。そして3時間後には,そのうち4匹のお尻のところに黄色い液体が付いていたそうです。男の子は,「アリジゴクは糞をしないけれど尿(おしっこ)はする」という研究をまとめました。

 世の中の人が皆思っていた常識と違うことだったので,新聞にも載り,テレビでも放送されました。それまでアリジゴクを研究した何人もの全国の小学生誰もが,気づかなかったことです。もしかすると気づいても「図鑑に書いてあるから,おしっこじゃないな」と思ってしまったのかも知れません。その後,黄色い液体はアリジゴクの尿(おしっこ)であることが科学者の研究によってはっきりしました。一人の小学生の自由研究が科学の常識を変えたと言っても良いのかも知れません。4年生の男の子が「小さな科学者」になったとも言えます。

 当たり前だと言われていることや不思議だと思ったことを実際にやって確かめてみる事が出来る学習。それが夏休みの理科自由研究なのです。自分で考えて自分で研究を進めていくので,どんどん考える力を付けることが出来ます。おまけにステキな発見が付いてくるかも知れません。自由研究が夏休みの一番の思い出になることもあります。先生方やお家の方と相談したり,科学に関する本を読んだりして,今のうちに計画を立ててください。担任の先生から理科自由研究の手引きを頂けます。ぜひ,今年の夏休みは,みんなが小さな科学者になるチャンスを生かすため,多くの子が自由研究に取り組んでほしいと思います。

校長室だより「自立の丘」№36 令和6年6月10日発行

2024年6月11日 08時42分

◆ 初の合同修学旅行
 先週の6月6日・7日に5・6年生12名が修学旅行に行ってきました。今回は初の試みとして中妻小学校5・6年生16名と合同で実施しました。両校とも複式学級に加え,人数が少ないので集団での効果的な宿泊体験が難しくなっている状況でしたので,両校で相談して企画しました。来年は同様に複式学級である,中郷小学校も加えて3校合同で宿泊学習(いわき海浜自然の家)実施予定です。
 第1日目は,会津若松市内での見学や体験活動です。飯盛山に登り,国の重要文化財「さざえ堂」の内部を見学しました。摩訶不思議な造りのお堂で二重構造のらせん階段を体験しました。その後,会津慶山焼きの工房に移動して,湯飲み茶碗を「手びねり」という手法で作りました。世界で一つの作品は,2ヶ月後に学校に届くそうです。
 昼食は鶴ヶ城会館で修学旅行生向けのランチです。会津の郷土料理「わっぱ飯」にトンカツや唐揚げ,デザートなどが付いており,全員が満足したようです。その後,会津藩最後の家老,西郷頼母の屋敷を移転して公開している会津武家屋敷を見学して,宿泊先の会津自然の家に入りました。
 ベッドメイキング(2段ベッドの寝床準備)をして,ビュッフェ形式の夕食後は,ナイトハイクです。中妻小と合同の7人グループになって,懐中電灯だけを頼りに暗い夜の森を探索しました。自然の家の職員が,その日一日中,熊追い(ナイトハイクコースに熊を近づけない処置)をして下さっていたそうで,安心して取り組めました。
 第2日目は,4人グループに会津若松市内の街歩きです。見学や起き上がり小法師つくり等の体験活動をしながら,自分たちで選んだ店で昼食を摂り午後2時に集合場所の鶴ヶ城会館に無事全員が集まりました。

◆ 小学校の修学旅行
 小学校の修学旅行は,実は必須の学校行事ではありません。中学校は入学から卒業までの間に宿泊を伴う修学旅行,林間学校,臨海学校などのいずれかを行なうことになっていますが,小学校は集団宿泊をして文化や自然体験をすることで子供同士の関係を深めることが推奨されています。今回の修学旅行の終わりに,ある男の子に「最も心に残ったのは何?」と訊いたところ「ナイトハイクで皆と歩いたこと」と答えていました。私の50年前の会津への修学旅行の思い出が,あまり無いのも,当時は物見遊山的な「旅行」だったからかも知れません。ですから,宿泊学習の要素をなるべく多くして実施しているのが,小学校の修学旅行なのです。