校長室からお届けします

校長室だより「自立の丘」№10 令和5年6月27日発行

2023年6月28日 09時01分

◆ 可愛い子には旅を・・・  ~ 宿泊学習記 ~
 6月22日から1泊2日で福島県西郷村の国立那須甲子青少年自然の家に5・6年生17名が行ってきました。引率は私の他,教諭2名と養護教諭との4名です。
 1日目,あいにくの雨のために阿武隈川源流を訪ねるハイキングは中止となりました。そこで,雨天時のプログラムとして用意していた,白河だるまの絵付けを行ないました。こういう創作活動は子どもたちの才能が発揮されます。だるまの命は「顔」だということがよく分かりました。思わず「イイね」と言ってしまう個性豊かな顔が揃いました。
 絵付けはハイキングに比べて短時間で済むので,急遽「なすかしココどこ」という室内オリエンテ-リング(地図を片手にチェックポイントを探し出すゲーム)をやることになりました。この自然の家は,施設内を全て回るには1時間以上かかる程に極めて広いのです。雨が降っても施設内で楽しめるように造られています。
 夕食後は,真っ暗な部屋の中でキャンドルを囲んでの楽しいひとときを過ごし,大浴場でさっぱりと汗を流し就寝しました。
 2日目,雨が上がったので予定どおりの野外炊飯です。羽釜でご飯を炊きながら,カレーも作らなければなりません。薪に火をつける事から始めますので結構大変です。子どもたちは役割を分担し,協力して実にスムーズに美味しい昼食を作りあげました。もちろん先生達の力添えはありましたが,合格点のカレーライスでした。大変なのは片付けですが,食器や鍋をピカピカにして,宿泊室の掃除と合わせて「掃除パーフェクト」の賞状が学校に届きました。
 家庭を離れて「自分のことは自分でする」という経験は,自立へ向けて子どもを成長させます。今回の集団宿泊活動は「子どもには厳しい社会の経験を積ませた方が自立できるようになる」という諺(ことわざ)「かわいい子には旅をさせよ」通りでした。この諺を英語で表すと,「Spare the rod,and spoil the child.」(ムチを惜しむと子どもがダメになる)とも言います。体罰をして躾をせよという意味ではなく,古今東西「子どもの成長のためには苦労体験を積ませなさい」という事でしょう。教育活動が社会人としての自立への一助になれば,学校としても嬉しい限りです。

◆ 家族で利用できる自然の家
 我が家では20年位前,息子と娘が小学生の間,毎年「なすかし」に泊って自然体験することを夏休みの恒例行事にしていました。森の中で迷子になりかけて何とか生還したことや協力して野外炊飯をしたこと,虫取りをしたこと等もあって,家族の絆が深まりました。「なすかし」を30歳を過ぎた息子達が「家族の思い出ベストワン」の場所に挙げてくれていることに喜んでいます。
 県内には国立那須甲子青少年の家・磐梯青少年交流の家(2名以上利用可)と県立郡山・会津・いわき海浜自然の家(5名以上利用可)の5施設があり,いずれも食費程度で宿泊できます。家族の絆を深める思い出づくりにオススメです。

校長室だより「自立の丘」№9 令和5年6月16日発行

2023年6月19日 09時03分

◆ 責任について考える
 全国中学生人権作文コンテストに小学生時代に友達にケガをさせてしまったエピソードをモチーフにした作文がありました。子どもの「責任」について考えさせられる作文でした。

 【内閣総理大臣賞】  被害者と加害者 それぞれの立場
                        佐賀県武雄青陵中1年 平木洵太
 さだまさし氏の曲に「償(つぐな)い」という有名な作品がある。私が小学生の頃、母が聞かせてくれた話だ。それは,私が過(あやま)って友人に怪我をさせたことがきっかけだった。遊びの中の事故で、決して故意ではなかったが、友人は目のすぐ横を負傷してしまった。……(以下省略)

 法務省ホームページ参照 https://www.moj.go.jp/content/001129613.pdf

 【参考】

♫ 償い(つぐない)  さだ まさし 詩・曲

月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに 必ず横町の角にある郵便局へ とび込んでゆくのだった 仲間はそんな彼をみて みんな貯金が趣味のしみったれた奴だと 飲んだ勢いで嘲笑(あざわら)っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり 僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ たった一度だけ 哀しい誤ちを犯してしまったのだ 配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた 人殺し あんたを許さないと 彼をののしった被害者の奥さんの涙の足元で 彼はひたすら大声で泣きながら ただ頭を床にこすりつけるだけだった それから彼は人が変わった 何もかも忘れて働いて働いて 償いきれるはずもないが せめてもと 毎月あの人に仕送りをしている 

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣きながら走り込んで来た しゃくりあげながら 彼は一通の手紙を抱きしめていた それは事件から数えてようやく七年目に 初めて あの奥さんから 初めて彼宛に届いた便り「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に 主人を思い出して辛(つら)いのです あなたの気持ちはわかるけど それより どうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」 手紙の中身はどうでもよかった それよりも償いきれるはずもない あの人から返事が来たのが ありがたくて ありがたくて ありがたくて ありがたくて

神様って 思わず僕は叫んでいた 彼は許されたと思っていいのですか 来月も郵便局へ通うはずのやさしい人を許してくれて ありがとう
人間て哀しいね だってみんなやさしい それが傷つけあって かばいあって
何だか もらい泣きの涙が とまらなくて とまらなくて  とまらなくて  

 子どもは誰でも友達とケンカをすることがあります。ケンカをすることで社会性を身に付けていくとも言えますが、それが暴力に至り相手に怪我をさせると取り返しのつかないことにもなります。特に「目」は人体で唯一,体外に露出している内臓とも言える脆弱な器官です。カッとしたとしても相手の顔に手がいくようなことは避けなければなりません。
 最近はテレビや格闘型ゲームの影響なのか暴力的になる子どもが増えているように感じます。学校では暴力を振るいそうになる子には深呼吸や数を数えさせて怒りの感情をコントロールできるよう指導したり,じっくり話を聞いてあげたりしています。

校長室だより「自立の丘」№8 令和5年6月9日発行

2023年6月12日 09時29分

◆ プールの季節到来
 3年振りにコロナウイルス感染症に,さほど神経質にならなくて済みそうな水泳授業の時期がやってきました。1年間,眠りについていたプールを市川さん,渡辺さんのお二人の町外部作業員さん,そして児童と先生達が力を合わせて掃除して美しく,よみがえらせました。人手の少ない状況を劇的に変えたのが,地区の佐久間様から借用した高圧洗浄機でした。頑固な汚れをすっかり落とすことが出来ました。感謝申し上げます。
 学校は簡易水道のため,なかなかプールが満水になりませんが,なるべく早く水泳授業を開始したいと思います。7月20日のプール納めまで水泳に適した日は限られてくると思います。体調を整えて,なるべく多くプールに入って泳げるようになったり,水泳の技能を高めて欲しいと思っています。

かっぱ(河童)を目指そう (6/7 プール開きの話)

 今日は待ちに待ったプール開きです。よかったね。でも私は,小学校5年生になるまで泳げなかったので,それまで水泳の授業は楽しくありませんでした。小学校にプールがなくて,遠くの町営プールまで行って,年に何回かしか水泳の授業がなかったからだと自分は悪くないと言い訳をしていました。でも,みんなはプールが学校にあって幸せですね。どうして泳げなかったかは後で泳げるようになった時,分かりました。水は怖くなかったし,水中で目を開けることも平気でした。体を水に浮かせることも出来ましたが,少し泳ぐとすぐに立ってしまうんです。そういう人は居ませんか。実は息継ぎが出来なかったんです。口や鼻を水から出して息継ぎをしているつもりでも空気を吸えていなかったんです。それが水中で息をたくさん吐けなかったからだと気付いてから,すぐに息継ぎを覚えて泳げるようになりました。

 ところで,水泳の授業は,なぜ行うのでしょうか。みんなの目標「学び・つながり・つくる」の3つめ「つくる」ですよね。「自ら身体をつくる子ども」のためです。体育として体を丈夫にするためですが,命を守ることにもつながります。間違って池や川,海に落ちてしまった時,泳いで岸や船に戻って来れなくても何分間か泳いで浮いていることができると助けてもらえる可能性がグッと高くなります。将来,自分の命を守ってくれることにもつながる大切な授業ですので頑張って取り組みましょう。

 泳ぎの得意な伝説上の生き物に「かっぱ」がいます。河童を目指すような気持ちで泳ぎの練習をしてください。でも,「河童の川流れ」という諺もあります。「泳ぎの得意な河童も油断すると川に流されてしまうことがある」,つまり「あることの専門家でも油断すると失敗するよ」というアドバイスです。水泳で言うと「溺れること」です。気を付け過ぎるぐらい気を付けて水泳の授業を楽しんで欲しいと思います。私も水泳の息継ぎができるようになってからは泳げるようになり,水泳の授業が楽しくなりました。

校長室だより「自立の丘」№7 令和5年5月31日発行

2023年6月1日 11時10分

◆ 沢石の子,大活躍
 5月25日に行なわれた第4回田村地区小学校陸上競技大会(田村地区・川内村全15校,約400名参加)において沢石の子達が大活躍しました。6年生全員の10人が出場しましたが,次のような好成績でした。
 ① 男子4×100mリレー(渡邉T・佐久間B・渡辺H・佐久間I・佐久間D)第2位(58秒23)
 ② 男女混成4×100mリレー(渡辺K・佐久間N・佐久間R・佐久間Y・井堀H)第2位(1分01秒9)
 ③ 男子100m…佐久間I 第1位(13秒54) 佐久間B 第4位(14秒49)
 ④ 女子100m…佐久間 N 第5位(15秒96)
 ⑤ 女子800m…佐久間Y 第2位(2分34秒03…大会新記録)
 ⑥ 男子走り幅跳び…渡辺H 第7位(3m47)
 優勝あり,大会新記録あり,入賞多数そして何と言っても6年生全員の10人が3位までに贈られるメダルを手にしたことが喜ばしい限りでした。ふと,20年近く前に私の娘が田村市陸上大会で女子リレーの補欠として優勝メダルを手にしたことを思い出しました。「この娘は運を持ってるな」とその時は感じましたが,今は「神様が練習を見てくれていたのだろうな」と思っています。練習をよく頑張ったね,みんな。そして練習を見てくれた先生達に感謝です。
 また,5・6年生の希望者8名が参加した27日の全国小学生陸上競技交流大会(通称日清カップ)福島県大会田村予選でも8名全員が県大会への出場権を獲得するという好成績でした。力を伸ばして7月2日の県大会に臨んで欲しいです。

◆ PTA奉仕作業に大感謝
 日曜日に歴代PTA会長・副会長会の皆様にもご協力頂き,草刈り・草取り作業をして頂きました。お陰で気持ちの良い教育環境に整えられました。ケガ等の報告は受けていませんが,もし何かあったのであれば,PTA安全互助会傷害保険に加入しておりますので,学校まで連絡いただけると幸いです。誠に有り難うございました。
 また,学校入口付近の道路沿い法面をまちづくり協会の皆様や富沢六楽会及び富沢長寿会の皆様に草刈りをしていただきました。学校では手の届かない場所ですので,大変助かります。この場を借りて御礼申し上げます。

校長室だより「自立の丘」№6 令和5年5月23日発行

2023年5月24日 09時54分

◆ 銀河鉄道の父
 役所広司さんが宮沢賢治の父親役を演じる映画『銀河鉄道の父』が話題です。当然,宮沢賢治の生涯も描かれるのですが,父親が主人公なので父親の視点で描かれた家族の物語でした。一番の理解者であり,彼女に読み聞かせようと童話を創作していたと言っても過言ではない二歳下の妹トシが亡くなってしまった後,賢治は創作意欲を失います。特に印象的だったのが,そんな賢治に父親が「わだしが一番の読者になるから書げ」と話しかけるシーンです。「親だけは最後まで子どもの応援者である」とはっきり分かった時の子どものうれしさに思いを馳せました。世間に認められなくても,多くの傑作を書き続けられた秘密の一端が分かったような気がしました。

◆ 宮沢賢治の考え方に学ぶ
 宮沢賢治は自身の死後,ようやく世間に認められて多くの童話が出版された作家ですが,全て人としての生き方への示唆に富んだ作品ばかりです。私が好きな童話としては,虔十(けんじゅう)という若者の植えた700本の杉苗が,自身の死後20年を経て,暑い日に子ども達の涼しい木陰の遊び場所になり,そこに若者の名前が付けられる『虔十公園林』。また,冷害による孤児であった若者が犠牲となって火山を爆発により噴火させ,気候を変えて東北地方の冷害を防ぐ『グスコーブドリの伝記』等があります。いずれも「個人が社会全体のためになる生き方をする」という賢治の思いを感じさせます。
 賢治は著作の中で『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』と述べています。実は昨年から9年間の福島県教育施策の最上位目標が『個人と社会の well-being(幸福)の実現』となっています。県内全ての公立小中高校は,それに向かって学校改革を進めているのです。21世紀の学校教育の目標が20世紀初頭に賢治によって語られていたことに感服します。子どもたちにも『自分も友達も社会も幸せになる」という考え方を育みたいと思います。

校長室だより「自立の丘」№5 令和5年5月18日発行

2023年5月18日 14時11分

◆ あいさつは心の扉を開く
 沢石小の子どもたちのあいさつは,大変素晴らしく,朝は“こども守り隊”の方々に「おはようございます。ありがとうございます。」と,そして職員室の窓に向かって「おはようございます。」と,あいさつをしています。でも,中には俯(うつむ)いてしまう子や聞き取れない位のあいさつの子もいます。あいさつをすると相手の心の扉を開き,親しくなれるきっかけを作ってくれます。社会人の習慣として重視し,「あいさつがきちんと出来る者を雇用する」と話す経営者もいる程です。子ども達のあいさつをさらに良くしたいと考えて,全校集会で次のような話をしました。

あいさつで心の絆を結び,つなり合おう

三春町立沢石小学校長 安生昌弘

 ある小学校で私が2年生の担任をしていた時のことです。ある5月の朝,まだ小学生が誰も登校していない早い時間に,私は2年生の教室に向かって歩いていました。すると黄色い帽子をかぶった一人の1年生の男の子が,2年生教室の向こうの1年生教室に入っていくところでした。登校1番乗りです。遠くにいる私には気づいていないようでした。すると,その子は元気の良いかわいい声で「おはようございます」とあいさつしながら1年教室に入っていきました。「1年生の担任の先生が教室にいらっしゃるんだな」と思いました。私は1年生の担任の先生に話があったので,2年生教室を通り過ぎて,さっき男の子が入っていった1年生教室へ行ってみました。すると,どうでしょう。その男の子がいるだけで,後は先生も誰もいません。「A君,おはよう。今,あいさつして教室に入って行ったよね。誰にあいさつしたの?」と聞いてみました。するとA君は,ちょっと考えてから,「『教室に』かなあ。」と言うのです。「毎朝,あいさつするの?」「うん,毎朝だよ。」「偉いねえ。」「ありがとうございます。」 誰もいない教室で話をしました。

 私は素晴らしいなあと思いました。A君は毎朝,誰かにではなく教室にあいさつしているのです。教室を大事に思っている気持ちが伝わってきました。もしかすると,先生か友達か誰かが教室にいても良いようにと,あいさつしているのかも知れません。だから,みんなを大切に思っている気持ちも伝わってきます。私は,A君と仲良くなれたような気がしました。直接あいさつを交わしたわけではないのにです。あいさつは,その人の気持ちを相手や周りの人に伝え,心と心がつながります。つまり,あいさつは学校の教育目標の二つ目「つながり合う子ども」になることに大切なのですね。それを1年生のA君に教えてもらったような気がしました。

「あいさつ」という言葉を活かして「あいさつ運動」というものがあります。「おはよう」「こんにちは」「さようなら」等のあいさつを「あ:明るく,い:いつでも,さ:先に,つ:続けて」しましょうという取組です。あいさつがもう一歩だなという人は,気持ちが良くなるような明るい声で,どんな時でも,相手より先にあいさつをしましょう。また,気持ちの良いあいさつが出来ている人は,あいさつの後に,言葉を続けてみましょう。例えば,交通安全見守りをしてくださっている方に「おはようございます。いつも早い時間にありがとうございます。」とか,沢石地区で会った方に「こんにちは。今日は暑いですね。」とかです。これが「つ:続けて」ということなんです。あいさつで人と人との心のつながりが出来ていきます。「あいさつ運動」で,もっともっとあいさつが溢れる沢石小学校や沢石地区,三春町にしていきましょう。

校長室だより「自立の丘」№4 令和5年5月1日発行

2023年5月2日 09時03分

◆ 頑張る沢石の子
 5・6年生の子どもたちは,今,田村地区陸上競技大会に向けて練習に頑張っています。例年であれば,9月に開催される大会ですが,会場の田村市陸上競技場が競技ルール改正に伴う長期改修工事に6月から入るため,今年は5月25日(木)に開催されます。6年生10名が参加しますが,同じ学級の5年生7名も来年のために練習に参加し,頑張っています。上級生に倣(なら)って学び育つという複式学級の良さが出ています。
 4月末から,登校後に体育館での基礎練習,体育の授業や放課後に出場種目毎の練習というサイクルで練習を積み上げています。大会では,10人それぞれの自己ベストを出して,悔いの残らない練習や大会にしてほしいなあと願っています。なお,県小学校陸上競技交流大会田村予選は5月27日(土)に同じ会場で開催される予定です。

◆ 子どもたちは優しい
 学校の校庭(旧 沢石中校庭)には結構多くの石があります。これは,平成23年の東日本大震災に伴う原発事故で校庭表土の入れ替えをした際に,緊急措置のため,あまり上質でない山砂が入れられたことが原因かと思います。砕石やコンクリート片が多いので,子どもたちのケガが心配です。そこで,少しずつ石を拾うことにしました。
 拾い始めて数日後のことです。私の姿に気付いた子どもたちが遠くから「ありがとうございま~す」と声を掛けてくれるようになりました。お礼を言われると,やっぱりうれしいものです。自分が褒(ほ)められて伸びるタイプだと確信しました。
 その数日後は,ある5年生の男の子が黙々と大きな石を掘り出して手伝ってくれました。そしてまた,その数日後になると下学年の子どもたちが,遊びを中断して「校長先生を手伝うよ~」と大勢駆(か)け付けてくれるようになりました。子どもたちの優しさに触れられることも,石拾いの成果です。

校長室だより「自立の丘」№3 令和5年4月25日発行

2023年4月26日 09時04分

◆ 大谷翔平選手の人気の秘密
 ベースボール・メジャーリーグで大活躍の大谷翔平選手がアメリカ合衆国と日本の両国で絶賛されています。それは,投打二刀流としての活躍ばかりでなく,ファンへの誠実な接し方,チームメートやスタッフへの温かい心遣い,グラウンドのゴミをさり気なく拾う行為などから優(すぐ)れた人間性に多くの人が魅了されるからでしょう。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦直前にチームメイトを鼓舞した名言も記憶に新しいところです。私の妻は「どうしたら,あんな子が育つのだろう?」などと母親目線で応援しているほどです。子どもたちが,そんな大谷選手の人間性に近づけたら良いなと思って,全校集会で次のような話をしました。

           夢や目標を実現するためには ・・・ 

                      三春町立沢石小学校長 安生 昌弘

 アメリカのメジャーリーグで,多くの人に無理だよと言われた,ピッチャーとバッターでの「二刀流」で大活躍中の大谷翔平選手は,『メジャーリーグで優勝して世界一になる』という自分の大きな夢を叶えるために早くからいくつかの目標を決めて実際に頑張ってきたそうです。まずは,高校1年生の時,「日本の立派なプロ野球のピッチャーになる」という大きな目標を立て,そのために必要な小さな目標を8つ立てました。その8目標毎に8つの計画を立てました。そして,合計64個の計画を考えて3年間取り組みました。もちろん,ピッチャーとしての実力を付けるための計画がほとんどですが,中には「それってプロ野球選手になることに関係あるの?」という計画があります。例えば,「あいさつをする」,「本を読む」,そして「ゴミ拾いをする」なんていう計画もあります。「ゴミ拾いをする」であることに気が付きました。大谷翔平選手が,メジャーリーグの試合中にグラウンドのゴミを拾ってユニフォームのポケットに入れているところをテレビで見ました。つまり,10年以上ゴミ拾いをし続けているのかも知れません。

 夢を叶えたり,目標を達成したりするためには,「何かをやってみよう」とか「何かを続けてみよう」と計画を立てることが大事なんです。計画を立てなければ,どんな人でも,何もしないまま,ボーっとして過ごしてしまいがちです。同じく有名な元野球選手のイチロー選手も『小さいことを積み重ねるのが,とんでもないところへ行く,ただひとつの道だ』と言っています。小さな計画をたくさんやり遂げると大きな夢をかなえることや高い目標を達成することになるのです。

 学校の目標も実は同じようにつくられています。沢石小学校では,みんなが卒業までに「何でもよく分かり,どんなことでも独りで出来る子ども」になること,『自立』を最高の目標として,3つの目標を決めています。「自ら学び続ける子ども」(知育)「自らつながり合う子ども」(徳育)「自ら身体をつくる子ども」(体育)です。学習だけでなく,学校や家庭でのいろいろなことが『自立』できることにつながっていきます。

 これから「やってみよう」とか「続けてみよう」ということを多く決めて実行しましょう。学校での計画に加えて,家庭での計画,例えば土曜日や日曜日に掃除機をかけようでも良いし,1日10分間,本を読むでも良いです。そうすれば,自分の夢や目標にちょっと関係ないことかなと思っても,大谷選手のように,ちゃんと関係してくるかも知れません。どんな小さなことでも良いですから,一人一人に合った,一人一人違った多くの計画を立て,続けることを期待しています。続けることは難しいことですが,最も大切なことなんです。

校長室だより「自立の丘」№2 令和5年4月18日発行

2023年4月20日 14時19分

◆ 1年生を迎えるフレンド歓迎会
 入学式から丁度1週間後の先週の木曜日に児童会行事としてフレンド歓迎会(1年生を迎える会)が行なわれました。
 明るい音楽が体育館に流れる中,2年生9人にエスコートされて1年生の入場です。1年生は3人なので,それぞれ両手をつながれた上に,一人が付き添うようになりましたので,1年生がすっかり囲まれて,守られている感じです。
 会のはじまりは,1年生へのインタビューからです。6年生に質問される「好きな色は?」等の質問にきちんと答えていく姿に,1週間ですっかり学校に慣れることが出来たんだなあと安心しました。続いて,2~6年生の自己紹介です。いすに座る1年生の前に車座になって縦割り班のメンバーが一人ずつ自己紹介していきました。だんだんと覚えてくれることでしょう。この頃には,ちょっぴり緊張気味だった1年生の表情が明るくなっていました。
 次は,いよいよ楽しそうなゲームの時間です。最初は「YES・NOクイズ」。引いたカードに書いてある言葉を質問によって,みんなが当てるゲームです。全校生が3つのグループに分かれて,実に和やかな雰囲気で進められていました。そして,「ハンカチ落とし」です。自分の背後に落とされたハンカチを持って鬼を追いかける,足の速い子に有利なご存じのゲームですが,高学年の子が下級生に追いつかないように思いやっている姿がありました。「優しい子達だな」と,うれしくなりました。
 最後に,1年生へのプレゼント贈呈です。かぶると6年生の背丈に追いつく程の長いピカピカの王冠,そして顔より大きな1年生の似顔絵の描かれたペンダントを身に着けた3人は,上級生に「かわいい!」を連発されて,3人の女王様が誕生した光景のようです。2~6年生の心を込めて準備した歓迎会に胸が熱くなったひとときでした。

◆ 全校生での滝桜ツアー
 昨年は滝桜が国天然記念物に指定されて百周年でした。それを契機に始まった滝桜ツアーですが,今年は14日(金)に全校生で行って参りました。花はすっかり散っていましたが,巨木の持つ荘厳さを十分に満喫できました。さらには,昭進堂の花見団子の登場です。学校が工夫して費用を捻出しました。
 葉桜となっても観桜客が結構いました。沢石小学生の姿や声に,うれしそうに微笑む方が多く,私までうれしくなりました。バスから観桜客に手を振って三春町観光に一役(ひとやく)買った子ども達を誇らしく思いました。
 午後には,三春の里の広場でお弁当を仲良く食べ,遊具で思い切り遊んで,良い思い出がさらに一つ増えました。

校長室だより「自立の丘」創刊します。よろしくお願いします。

2023年4月11日 09時21分

校長室だより「自立の丘」№1(創刊号) 令和5年4月10日発行◆ 希望あふれる春
 新しい年度がスタートしました。先週には可愛らしい女の子が3名入学しましたが,それだけで学校の中がうれしさで溢(あふれ)れているように感じます。私 校長は,3月末に田村市立船引小学校を定年退職しましたが,縁あって再任用校長として沢石小学校に赴任して参りました。三春町には三春小の教諭や教育委員会の指導主事として10年間お世話になって以来,17年ぶりに勤務することとなりました。よろしくお願いします。
 さて,沢石小学校の教育目標は「豊かな心や人間性・社会性を培い,協働しながら主体的に学びに向かい,心身ともにたくましい実践力のある子どもを育成する」と設定し,次の3つを目指す “子ども像” としています。
        ◎ 自ら学び続ける子ども
        ◎ 自らつながり合う子ども
        ◎ 自ら身体をつくる子ども
 もうお気づきのことと思いますが,3つとも「自ら」が入っています。これが沢石小教育のキーワードです。「自ら」とは「自分から進んで」や「主体的に」と同義の言葉ですから,何でも「自分でする,できる」子どもを目指すということになります。ご家庭でも,子どもたちが自分でできることを増やすようにしていただければと思います。「自分でする,できる」子どもは「自立」できるということになります。「自立」は小学校教育の最上位の目標です。中学校の最上位目標である「自律」(規範意識を持って生きること)に小学校卒業までの間に手が届きつつある姿を目指して,日々の教育を進めたいと考えています。

◆ 登校時刻を10分程度遅らせます
 沢石小学校では,8時10分から朝の活動などが始まります。教職員の出勤時刻も8時10分であるため,早い時間には教職員の数が少ないという状況になります。そこで,不審者侵入や子どもたちのケガなどにしっかり対応するため,本日2校時の校外子ども会で,学校に7時50分から8時00分の間に着くように登校班の集合時刻を決めさせました。今までと多少変わる班があると思いますので,よろしくお願いします。(文責:安生昌弘)