校長室からお届けします

校長室だより「自立の丘」№30 令和6年3月14日発行

2024年3月15日 10時36分

◆ 3.11を契機にして“命”について考える
 今週月曜日は,東日本大震災から13回目の3月11日でした。小学生全員が震災後生まれとなった今,能登半島地震に思いを致しながら,命の大切さについて考えてほしいと思い全校集会で話をしました。

奇跡の命 ~ 命のバトン ~

  一昨日の3月11日で東日本大震災から13年経ちました。とても大きな地震があって,岩手県,宮城県,そして福島県で2万人以上といいますから,三春町の人ぜんぶより多い人が,海の水が押し寄せる津波で溺れて亡くなりました。今年の1月1日には能登半島で大きな地震があり,240人以上の人が崩れた建物の下敷きになって押しつぶされて亡くなりました。その中には,小学生や中学生の子どももいました。今日は,命についての話をしたいと思います。

 みんなは,誰でもお父さんとお母さんとの間に生まれました。そして,お父さんは,そのお父さんとお母さん,みんなから見ると,おじいちゃんとおばあちゃんとの間に生まれ,お母さんも,そのお父さんとお母さん,みんなから見ると,おじいちゃんとおばあちゃんとの間に生まれました。だから,一人の子どもである,みんなは,4人のおじいちゃんやおばあちゃんが居てくれたので,今,ここに居ることになりますよね。

 もう少し,昔まで考えてみます。曾おじいちゃんや曾おばあちゃんまで考えると,みんなには,それぞれ4人のおじいちゃん,おばあちゃんの2倍の8人の曾おじいちゃんと曾おばあちゃんがいるわけです。1代前のお父さんとお母さんが2人,2代前のおじいちゃんとおばあちゃんが4人,3代前の曾おじいちゃんと曾おばあちゃんが8人なんだね。その上,4代前になると,もうそれはご先祖様と言えますね。もう分かってますね。そう16人です。みんな一人一人は,4代前のご先祖様16人全員が自分たちの子どもが生まれるまで元気で生きていないと,みんなは今,沢石小に居ないんです。実は,4代前のご先祖様16人の頃は,日本に大きな戦争があった昭和の時代で,300万人と言いますから,当時の日本国民の30人に1人以上の兵隊さんや普通の人々が死んでしまったのです。そんな厳しい時代を生き抜いたご先祖様の命を引き継いでいるのが,みんなです。命のバトンを奇跡的に引き継いでいるリレーみたいです。

 その厳しい戦争の前の大正時代と言われる5代前になると32人のご先祖様になりますが,まだずっと続いています。ずっとずっと昔になって,20代前になると,一人のあなたのご先祖様は何人になると思いますか。何と1,048,756人(百四万八千七百五十六人)になるんです。すごい人数ですよね。その中のたった一人でも居なかったら,あなたは,ここに居ないんです。20代前というのは戦国時代と言って,日本中のお侍が刀や槍,火縄銃などで戦争をしていた時代です。その時代を生き抜いた,ご先祖様の命をみんなは受け継いでいるんです。奇跡的なことですよね。

 そんな“奇跡の命”を持っている,みんなは,どうしなくちゃいけないと思いますか。大切に大切にしなくちゃならないのです。自分の命も他の人の命もです。自分の命を大切にするっていうのは,事故に遭わないように生活すること,他の人の命を大切にするっていうのは,いじめをしたりせずに思いやりを持って優しくすることだと思います。お互いの命を大切にして,みんなも大人になったら,奇跡の命をバトンのように未来に渡していってほしいと願っています。

校長室だより「自立の丘」№29 令和6年3月7日発行

2024年3月8日 09時29分

◆ 素敵なフレンドお別れ会
 沢石小は全校生で6つのたてわり班「フレンドグループ」(1班7~8名)を編制して様々な活動を行なっています。活動の中で,上級生が下級生の面倒を見たり,下級生が上級生を見習ったりする姿が見られるので,“フレンド(友達)”というより,私には“きょうだい”のように感じられる程です。
 昨日の3校時は「フレンドお別れ会」でした。以前の「6年生を送る会」にあたります。フレンド班対抗のゲームや全校生でのクイズを楽しんだ後,フレンド班の下級生から6年生へのプレゼントがありました。心のこもったブック型のメッセージ集です。ちょっと見せてもらうと,実に丁寧な文字で書かれたメッセージが写真などと共に貼り付けてありました。6年生は,お返しに一人一人に手紙のプレゼントを渡していました。全校生が大事そうに互いのプレゼントを持つ姿に,今年1年間のフレンド活動の成果を見る思いでした。
 最後には,現代っ子らしく,下級生がYOASOBI(よあそび)の『ハルカ』,6年生が卒業式に歌う『僕ら また』(ソギョン)を贈り合って,楽しいひとときを閉じました。


◆ アート&クラシック
 先週末に三春交流館「まほらホール」で行なわれた,石田智子さん(福聚寺)のファイバーアートとコラボレーションした“プリマベーラ コンサート”(プリマベーラとはイタリア語で「春」の意味)に行ってきました。日本フィルハーモニー交響楽団に所属する3人によるフルート,ヴァイオリン,チェロでの演奏でしたが,名曲から馴染みの楽曲までの20曲余りで2時間を超える素晴らしいコンサートでした。ステージの背景にはファイバーアート(紙縒り等を素材とした芸術)があり,そのシルエットが独特の雰囲気を醸し出していました。
 演奏家の一人,チェロの山田智樹さんは三春中出身とのことで,それも嬉しいことでしたが,私は入場整理券を手に入れる際に感心したことがありました。コンサートを知ったのが直前だったので,12月配付の整理券は無くなっているだろうと思っていました。しかし,都合が付かなくなった方々が返却されたので,私は入場することが出来ました。無料である整理券を聴きたい方のために返却する町民の方の思いやりに感動すら覚えました。子ども達を素敵な三春町民に成長させたいと決意を新たに出来たコンサートでもありました。

校長室だより「自立の丘」№28 令和6年2月29日発行

2024年3月1日 09時55分

◆ 鼓笛隊移杖式
 昨日の5校時開始前の昼休み後半に卒業してゆく6年生から5年生に鼓笛隊の指揮杖(じよう)(指揮者の棒)をバトンタッチする儀式を行ないました。11月末に新しいパートの希望調査,12月にオーディション,12月11日から10時の遊び時間や昼休みを削って2ヶ月以上練習を積み重ねてきました。
 最初に6年生と演奏に必須の楽器を加えた鼓笛演奏が行なわれました。スポーツフェスタから4ヶ月以上のブランクがありながらも,さすが素晴らしい演奏でした。その後は,いよいよ新鼓笛隊です。6年生には及ばないものの,真剣に演奏する姿は感動的な光景でした。遊ぶ時間を削って練習してきた成果は,どの曲にも表れていました。来年度の鼓笛隊活動が楽しみになるほど頼もしい姿でした。

◆ 鼓笛隊活動は令和6年度で終了
 10年前くらいから多くの学校では,鼓笛隊活動が行なわれなくなっています。それは,
以下のような問題点があったからです。
 ① 短い演奏発表のために膨大な練習時間(先生達にとっては指導時間)を要した。
 ② 正規の教育活動ではないのに,授業をつぶしたり,子どもたちの遊び時間を
   削ったり,先生達の休憩時間を奪ったりしていた。(「遊び時間」は小学生の心の
   発達に極めて重要な時間と言われています。)
 ③ 自分が本当にやりたい鼓笛パートを担うことができなかったり,オーディションの
   結果を受け入れられない子どもや保護者の方がいた。
 ④ 学年に相応(ふさわ)しい楽曲よりも難しい楽曲練習のために音楽自体を嫌いになって
   しまう子どもがいた。
 本校でも,鼓笛隊活動について昨年5月から鼓笛隊活動の終了について話し合いを重ねてきました。その結果,先週に全教職員の合意が形成され,令和6年度のスポーツフェスタ(10月26日・土)での演奏を最後に鼓笛隊活動を終了することにしました。子どもたちには昨日の移杖式終了時に話をいたしました。10月26日は是非,大きな拍手をしてあげてほしいと思っています。

校長室だより「自立の丘」№27 令和6年2月8日発行

2024年2月9日 08時44分

◆ 人には叱ってくれる誰かが欲しいもの
 人は誰でも弱い面を持っています。だから,叱ってくれる誰かが近くにいると正しく成長できます。その誰かが「もう一人の自分」だったら,こんなに頼もしい事はありませんよね。映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が話題のようですが,鬼太郎の父“目玉親父”とは少し違う「目玉おやじ」の話を全校集会で子どもたちにしました。

目玉おやじは何時(いつ)も見ている

 みんなは,今,自分の中にもう一人の自分がいることを知っていますか。「自分」には,何かを「する自分」と,それを「見ている自分」がいるんです。こんな絵(下図)のようにです。この「目玉おやじ」みたいな「見ている自分」は,自分のやることをすべて見ているのです。ゲゲゲの鬼太郎の目玉親父も実は鬼太郎のお父さん妖怪で,死んじゃったのだけれども息子の鬼太郎のことが心配で仕方ないので,見守るために目玉の姿で鬼太郎と一緒にいるのだそうです。

 みんなの中にいる「目玉おやじ」は,「おまえ,あの時,ずるいことしたよな。」とか,「おまえ,あの時,全力じゃなかったよな。楽をしたよな。」とか,「おまえ,あの時,悪いことだと分かっていたのに,他の人に付き合ってやっちゃったよな。」などと見ているのです。他の人には分からなくても,いつも厳しい目,正しい目で見ているのです。絶対ごまかせないんです。それが自分の中にいる「目玉おやじ」なのです。

 誰でもズルいことやサボったことはあるでしょう。それで「しめしめ,誰にも気づかれずにうまくいった!」と思ったことがあったかも知れないですね。でも,それを知っていて,覚えている人がいるんです。それが,もう一人の自分「目玉おやじ」です。その証拠に,ほら,今だって,みんなは,そのズルいことを自分では覚えているでしょ。

 もちろん「目玉おやじ」が覚えているのは悪いことばかりじゃないんです。自分が頑張ったことや出来なかったけれど努力したことを見ていてくれます。自分の「目玉おやじ」に「うん,おまえもなかなか良くやっているなあ」と認めてもらえます。これが大切なことで,それを「自信がついた」と言うんです。「目玉おやじ」に認めてもらえれば,「目玉おやじ」は自分自身に大きな力を与えてくれます。でも,ズルいことや楽なことだけをして,うまくやろうなんてすると,大きな力で,そのじゃまをするものです。「おまえなんか失敗してしまえ。だって,あんなにズルかったり,サボったりしたじゃないか。」ってね。つまり,目玉おやじは何時(いつ)も見ているんです。

 みんなは,自分の目玉おやじに,認めて,ほめてもらえるような生活を送っていきましょう。人に気づいてもらえなくても,人からほめられなくても,「目玉おやじ」だけは知っていてくれて,大きな力を与えてくれます。自分の力で自分から頑張ることで光り輝くステキなみんなになってほしいと思っています。そんな生き方をするみんなを,私も先生方も何時(いつ)でも,そして何時(いつ)までも応援しています。

 ※ この話は社会教育家 平 光雄氏の「テレビ寺子屋」での講話を基に作成したものです。

 

校長室だより「自立の丘」№26 令和6年2月5日発行

2024年2月6日 09時13分

◆ 漢字のオススメ勉強法
 先週木曜日に沢石小学校完全漢字検定(3月1日実施)のお知らせをしました。漢字に苦手意識を持つ子どもほど,漢字の勉強をおろそかにしがちです。でもそれは自分に合った覚え方や練習方法ができていないから。漢字は何回も紙に書いて練習するものだという「思い込み」を持っている人が多いですが,漢字を覚えるためにひたすら紙に何回も書いて練習するのは「ウサギ跳び」トレーニングのようなもので,あまりオススメできない勉強法です。以下は現在オススメの勉強法です。
1. 声に出しながら書く
 漢字は読み方から覚えるのがコツ。読み方を覚えてから書く練習をすると,効率よく覚えることができます。さらに,家で学習する際には漢字の読みを声に出しながら書くのもよいでしょう。特に,聴覚からの情報に強い子どもにおすすめです。また,漢字自体の意味や成り立ちを知り,イメージしたり言葉で表したりすることでも覚えやすくなります。上学年は,すでに習っている漢字の組み合わせで語呂合わせをしたり,部首の意味を学んだりするのもおすすめ。「木の上に立って見るのが親」「糸に従うのは縦」「石で皮を破る」など,イメージしやすい覚え方を探し,声に出しながら書いてみましょう。聴覚より視覚からの情報が入りやすい子どもには,見た目で記憶していく方法がおすすめ。たとえば,漢字を輪郭で覚えるという方法。山という漢字なら,山の絵と合わせて覚えるというように,形で記憶するということです。声に出すよりも,こちらの方が得意な子どももいますから,いろいろ試してみてください。
2.へんやつくりを色分けしてみる
 漢字を分解してへんやつくりを色分けする方法もあります。きへんは緑,さんずいは青というように分けて書いてみると,意外とすんなり覚えられることも。回数をこなすのではなく,
一回一回を丁寧に行うことがコツです。
3.意味を考えながら覚える
 漢字の成り立ち,使い方,形や意味が似ている文字など,覚えたい漢字について膨らませていく方法もあります。意味を考えながら覚えれば,単なる作業ではなくなり,楽しみながら学習できるでしょう。好きなマンガ,テレビ,遊びなど,子どもが興味のあることに絡(から)めてあげるのも良い方法です。楽しいことであれば自然と頭に入ってくるはず。生活や遊びなどいろんなことにつなげてみてください。
4.自分でテストを作って解いてみる(今回の完全漢字検定は,この方法を手助けしました)
 漢字を覚えるために,家庭でテストを行うのもおすすめ。このとき,自分でテストを作るのがポイントです。保護者の方が用意するのではなく,子どもが自分で作って自分で解くようにします。いらない紙に文章や単語をひらがなで書き,その横に漢字を書いていくだけで立派なテストになります。自分でテストを作れば,文章や熟語を考える作業ができ,漢字の意味を覚えられます。解くときは,漢字を覚えているかの確認ができます。答え合わせまで自分で行い,わからなかった漢字を集中して復習すれば,効率良く学習を進められます。
5.たくさん書くことにこだわらない
 一つの漢字を繰り返し書いているだけでは単なる作業になってしまい,覚えることにはつながりにくいです。子どもがよくやりがちな1画目を10個,2画目を10個……というような書き方では,覚えるまでにさらに時間がかかってしまいます。書く回数が多ければ覚えられるわけではありません。少ない回数で無理なく覚えるのが効率の良い方法です。

校長室だより「自立の丘」№25 令和6年1月29日発行

2024年1月30日 08時53分

◆ 初の全校算数コンクール終わる!
 学校には,スポーツフェスタ,持久走やなわとび記録会などの運動面で表彰する機会があるものの,学習面で表彰する機会はあまりありませんでした。そこで,算数コンクールを創設して学習での頑張りも表彰することとしました。先週の金曜日に各学年ともA3判2枚の結構難しい問題に全校生が取り組みました。「難しいなあ」という声もあったようですが,普段出会わない問題にワクワクした子が居てくれたら良いなあと思っています。来月7日の全校集会で成績優秀者を表彰します。副賞として,特製の“沢石小学校エクセレント鉛筆”を贈呈する予定です。

◆ なぜ勉強しなければいけないの?
 「なぜ勉強しなければいけないの?」とお子さんに訊(き)かれた事はありませんか。昭和の時代なら「良い学校へ進学して給料の高い会社に就職するためだよ」で子どもは納得したかも知れませんが,ユーチューバーが子どもの就(つ)きたい職業ランキングに入る現在では難しいでしょう。また,保護者の皆様も「中学や高校の数学なんて日常生活に必要ないのに…」などと感じた事があるのではないでしょうか。実際,日常生活に困らないためであれば,小学5年生位までの学習内容で十分です。しかしながら,実は理数系教科の難しい内容は論理的に考える力を付けるために学習します。その力を使って文系教科の内容を正確に理解していくのです。今でもThe文系の私は算数・数学科で学んだ論理的思考を使って,本を読んだり文章を書いたり話したりしています。
 しかしながら,子どもに「考える力を付けるために勉強するんだよ」と言っても,よく理解できないでしょう。テレビでおなじみの齋藤 孝教授(明治大学『声に出して読みたい日本語』著者)によると,こんな風に言うと良いとの事です。「勉強って地味なことをコツコツやらなくちゃいけないでしょ。大人になると仕事でもっと地味で答えが簡単に出ないことをコツコツやらなくちゃならないんだよ。だから,その練習なのさ」と。

校長室だより「自立の丘」№24 令和6年1月18日発行

2024年1月19日 09時49分

◆ 今は考える力を蓄えるとき!
 冬の寒い時期は,森の木々と同じように春に向かって生きる力を蓄えるときだと思います。子どもの生きる力は「考える力」ですので,全校集会で,こんな話をしました。

失敗に学ぶ知恵

 みんなは『イソップ童話』を知っていますか。ヨーロッパに古くから伝わるお話を集めたもので,「アリとキリギリス」とか「ウサギとカメ」とか「オオカミと少年」など,たくさんのお話がその中に入っています。その中の一つに「北風と太陽」というお話があります。

 冬のある日,広い草原の一本道を一人の旅人が歩いておりました。それを見て,北風は太陽に言いました。「あの旅人の上着をどちらが先に取り去ることが出来るか競争しよう」

 北風は力(ちから)いっぱい風を吹きつけました。しかし,旅人は寒さに震え,上着で体をギューッとくるみました。そこで,北風はもっと強く吹きつけました。しかし,旅人は身を守るように上着をさらにきつく巻きつけました。2回とも失敗です。

 今度は,雲の合間から太陽が現れました。そして,旅人を燦々(さんさん)と照らしました。旅人は体が温かくなって気持ちよくなり汗も出てきて,上着を脱ぎました。太陽は,旅人の上着を取り去ることに成功しました。

 北風は,なぜ2回も失敗をしたのに,太陽は1回で成功することが出来たのでしょうか。何となく分かりますね。北風は1回目の失敗を反省することなく同じように繰り返してしまったから2回目も失敗したのですね。それに対して太陽は北風の失敗を見て考えて,北風と違う方法で成功することが出来たのですよね。太陽には,考える力があったのです。勉強することばかりでなく,失敗したことを無駄にしないで次に活かしていくことも「学ぶ」と言います。つまり,失敗に学んでいくと,考える力が付いて「自立」つまり,何でも自分で出来るようになるのです。

 みんなが毎日やっている授業も自分の学習も同じです。間違いや失敗をして良いのです。授業や学習の中で間違うことや失敗することは恥ずかしいことではありません。それを無駄にせずに次に活かして行くことが「学ぶ」ということなのですから……。

 また,普段の生活でのことも同じです。いけないことを言ったり,やったりして,家の人や先生に叱られたことがある人もいるでしょう。誰でも言葉や行動の失敗をします。失敗したことを無駄にせず活かしていくことも「学ぶ」ことになります。

 本当に恥ずかしいのは,間違うことや失敗することではなく,学ばずに同じ間違いや失敗を繰り返してしまうことなのです。間違いや失敗を恐れずにチャレンジしてダメだったら,まず反省することが大事です。そして次に,間違いや失敗を生かして学んでいくのです。「反省できる人だけが,より良い人になれる」と言われるのは,そのためです。さらに,授業や生活で間違いや失敗をすると,それは周りの友達が「北風と太陽」の太陽のように失敗を見て学ぶことへとつながります。自分の間違いや失敗が周りの友達の学びに役立つのです。授業や学校生活が行われる教室は,そんな素晴らしい場所なのです。授業や生活での間違いや失敗は,自分だけでなく,みんなの「学ぶ」ためのチャンスです。授業や学習,そして学校生活の中でたくさんの間違いや失敗に学んで,どんどん考える力を付けて「自立」出来るようになりましょう。

校長室だより「自立の丘」№23 令和6年1月10日発行

2024年1月11日 08時56分

◆ 一年の計は元旦にあり!
 冬休みが終わり,卒業や進級に向けての学校生活が昨日,再スタートしました。能登半島地震に対して,私達ができることについて話をした後,以下のような話をしました。

はじまりの会の話

  今日は令和6年,最初の学校の日です。みんなは学年が1つ上に上がる年のスタートの日です。特に6年生は卒業をして中学校へと進学する年になりました。いよいよという感じですね。今日は1月9日ですが,昨日までに家族から「あなたの今年の計画や目標は何かな。」と訊ねられた人はいますか。実は日本には古くから『一年の計は元旦にあり』といって「その年1年間の計画は元日の朝に決めると良い」ということわざがあります。これは本当は「計画は早いうちに立てて,すぐ取り組むことが大切なんだよ」という私たちの生き方へのアドバイスなのです。

 アメリカのメジャーリーグで大人気の野球選手と言えば,大谷翔平選手ですね。去年の4月に全校集会で話しましたが,大谷選手は64個の計画を考えて,高校の3年間,部活動に取り組みました。その結果,今では,あんな大選手になったんですよね。「何かをやってみよう」とか「何かを続けてみよう」と計画を立てなければ,人は何もしないままに,ボーっとして過ごしてしまうのです。そうなってしまわないように,日本人は『一年の計は元旦にあり』ということわざで注意をするように言い伝えてきました。小さな計画をたくさんやり遂げると,関係ないようでも,いつか大きな夢をかなえることに必ずつながります。

 学校での2学期のめあてとは別に「これからやってみよう」とか「続けてみよう」ということを決めて家族に話しましょう。土曜日や日曜日に家で掃除機をかけようでも良いし,1日10分間,本を読むでも良いです。そうすれば,きっと家族はみんなを応援してくれるし,何よりも怠けそうになる自分を自分の心が励ましてくれるようになります。まだ1月ですから間に合います。どんな小さなことでも良いですから,一人一人に合った,一人一人違った計画を立てることを期待しています。

校長室だより「自立の丘」№22 令和5年12月22日発行

2023年12月25日 09時15分

◆ 冬休みは“進んで勉強”と“礼儀正しさ”のチャンス!
 冬休みを迎え,年明けから今年度の終盤となります。22日の全校集会で冬休み中の目標について以下のような話をしました。

冬休みのチャンスを活かそう

 今日は冬休み前の授業が終わる,締めくくりの日ですね。冬休みは夏休みと違って,「1年間で勉強することの大部分が終わっている」とか「年末やお正月がある」とかいうことから皆にとって2つの『チャンス』があるのです。

 実は,4月から先生方は指導する時に,学習でも運動でもみんなが「自分から進んで何でも頑張る子どもにしよう」という事を心掛けてきました。先生方に指導されたことで思い当たる人もいるんじゃありませんか。

 まずは、一つ目のチャンスです。4月から始まった各学年の学習は,3ヶ月分くらいを残して今日までに終わりました。4月から今まで学習したことを振り返ってみて全部を身に付けている人はそうは,いないでしょう。ですから,「復習」と言って,もう一度学習し直す内容がたくさんあります。そして,分かる・出来る学習と分からない・出来ない学習は人によって違いますから,自分で学習する中身を考えて勉強しなければなりません。宿題があると勉強するけど,ないと勉強しない人がいるでしょう。だから,やる気にならないと「復習」(学習のし直し)は,することができないのです。特に今年から1月の終わり頃にちょっと難しい問題の「沢石小 算数コンクール」を行います。自分のよく身に付いていない算数の内容について力を入れて復習をしないと問題を解くことができないかも知れません。冬休み中に“自分から進んでの勉強”に挑戦しましょう。

 次は二つ目のチャンスです。普段会えない親戚や知り合いの年上の人に会ったら,礼儀正しくあいさつをするチャンスがあるし,何かしてもらったら,「ありがとう」と言うチャンスがあります。また,大晦日12月31日に家族に「1年間,色々ありがとうございました。」なんて言うと,びっくりされるかも知れませんよ。家族に対しても「親しき仲にも礼儀あり」という言葉のように礼儀正しさが時には必要なんです。冬休み中にたくさん“礼儀正しい”言葉づかいやあいさつ,そして行動を心掛けましょう。

 今年の冬休みは,普通の年より2日間長い17日間ありますが,ボーっとしていると,あっという間に終わってしまいます。ボーっとしていて誰かに叱られないように,自分から進んで取り組む勉強,そして意識して礼儀正しく話したり行動したりすることに頑張ってほしいと思います。事故や怪我,健康に気を付けた生活を送って,来年の1月9日(火曜日)に元気に登校し,登校途中に会う大人の方や先生方に「おはよう」の代わりに「新年おめでとうございます」とあいさつができると素晴らしいと思います。

校長室だより「自立の丘」№21 令和5年12月7日発行

2023年12月8日 08時30分

◆ クリスマスのプレゼント
 子どもにとって,クリスマスは一番楽しいイベントなのではないでしょうか。ゲームソフトをお願いしているという声も聞こえてきたような気がします。昨日の全校集会でプレゼントについての話をしました。

本当に良いプレゼントとは…

 アメリカ合衆国の小説家,オー・ヘンリーが書いた物語です。

 ニューヨークという大きな街に,ある貧しい夫婦がおりました。ジムという夫とデラという妻です。毎日の食事をしていくのが精一杯で自分たちの楽しみに使うお金などはありませんでした。クリスマスが近づいてきました。アメリカではクリスマスに自分の大切な人に贈り物をすることをとても大事にします。ジムとデラも相手に秘密で,何とかお金を手に入れて相手の喜ぶ贈り物を買おうとします。

  妻のデラは考えました。夫のジムはたった一つの宝物である,金の懐中時計を大切にしている。それは,おじいさんからお父さん,そしてジムへと受け継がれた宝物だけれど,つるす金の鎖がなかったのです。金の懐中時計に金の鎖をつけることができたら,ジムはどんなに喜ぶだろう。そう考えたデラは,自分のものでたった一つ価値のあるもの,自慢の美しい長い髪の毛を,かつらを作って売るようなお店でバッサリと切って売ってしまったのでした。自慢の長く美しい髪はなくなってしまったけれど,ジムはきっと喜んでくれるだろうと思いました。

 その頃,夫のジムもデラの喜ぶ贈り物を考えていました。デラのたった一つの自慢は長い美しい髪でした。その髪をとかす,櫛(くし)をデラはほしがっていました。長く美しい髪をすてきな櫛でとかし,もっと美しくできたなら,デラはどんなに喜ぶだろう。そう考えたジムは,自分のものでたった一つ価値あるもの,金の懐中時計を売ってしまいました。大切な金の懐中時計はなくなってしまったけれど,デラはきっと喜んでくれるだろうと思いました。

 こうして二人の贈り物,「金の鎖」と髪をとかす「櫛」は,それぞれ意味のないものになってしまいました。みんなは,この夫婦を「愚か者だな」「馬鹿だな」と思いますか。このお話の題名は,実は「賢者(賢い人)の贈り物」とつけられています。愚か者ではなく賢い人だというのです。このお話から教えられるのは,「かしこい」とは人の気持ちを思いやりながらよく考えたり,自分がどうしたいかではなく,どうすることが一番よいのかを考えたりすることだということです。そうすれば結果は関係ないのじゃないかということです。その証拠に実は,この二人,少しも悲しまないんです。お互いが自分のことをよーく思いやってくれたんだなあと幸せな気持ちになる位なんです。優しい気持ちをプレゼントできたから,もらったからということです。プレゼントって,モノを贈り合っているようで,本当は気持ちを贈り合っているんですね。

  さて,多くの皆はXmasにプレゼントをもらうんじゃないかな? 中にはゲーム機やゲームソフト,ネットゲーム課金用のプリペイドカードなんてものをお願いするつもりの人はいませんか。ゲームは皆の頭の中から勉強したことを吸い取ってしまうので,自分の子どものことを思いやる,お家の方はプレゼントしてくれないかも知れません。そんな時は,今日の「賢者の贈り物」の話を思い出しましょう。賢い皆なら分かると思いますが,本当に良い贈り物とは相手のことを思いやった心を込めたモノだからですね。また,プレゼントは玩具ではない場合やプレゼントその物がない家庭もあるでしょう。家庭それぞれ違うXmasだと思いますが,家族のことを思いやりながら,家族でゆっくり過ごす夜になると良いなあと願っています。