校長室からお届けします

2024年6月の記事一覧

にっこり 校長室だより「自立の丘」№36 令和6年6月10日発行

◆ 初の合同修学旅行
 先週の6月6日・7日に5・6年生12名が修学旅行に行ってきました。今回は初の試みとして中妻小学校5・6年生16名と合同で実施しました。両校とも複式学級に加え,人数が少ないので集団での効果的な宿泊体験が難しくなっている状況でしたので,両校で相談して企画しました。来年は同様に複式学級である,中郷小学校も加えて3校合同で宿泊学習(いわき海浜自然の家)実施予定です。
 第1日目は,会津若松市内での見学や体験活動です。飯盛山に登り,国の重要文化財「さざえ堂」の内部を見学しました。摩訶不思議な造りのお堂で二重構造のらせん階段を体験しました。その後,会津慶山焼きの工房に移動して,湯飲み茶碗を「手びねり」という手法で作りました。世界で一つの作品は,2ヶ月後に学校に届くそうです。
 昼食は鶴ヶ城会館で修学旅行生向けのランチです。会津の郷土料理「わっぱ飯」にトンカツや唐揚げ,デザートなどが付いており,全員が満足したようです。その後,会津藩最後の家老,西郷頼母の屋敷を移転して公開している会津武家屋敷を見学して,宿泊先の会津自然の家に入りました。
 ベッドメイキング(2段ベッドの寝床準備)をして,ビュッフェ形式の夕食後は,ナイトハイクです。中妻小と合同の7人グループになって,懐中電灯だけを頼りに暗い夜の森を探索しました。自然の家の職員が,その日一日中,熊追い(ナイトハイクコースに熊を近づけない処置)をして下さっていたそうで,安心して取り組めました。
 第2日目は,4人グループに会津若松市内の街歩きです。見学や起き上がり小法師つくり等の体験活動をしながら,自分たちで選んだ店で昼食を摂り午後2時に集合場所の鶴ヶ城会館に無事全員が集まりました。

◆ 小学校の修学旅行
 小学校の修学旅行は,実は必須の学校行事ではありません。中学校は入学から卒業までの間に宿泊を伴う修学旅行,林間学校,臨海学校などのいずれかを行なうことになっていますが,小学校は集団宿泊をして文化や自然体験をすることで子供同士の関係を深めることが推奨されています。今回の修学旅行の終わりに,ある男の子に「最も心に残ったのは何?」と訊いたところ「ナイトハイクで皆と歩いたこと」と答えていました。私の50年前の会津への修学旅行の思い出が,あまり無いのも,当時は物見遊山的な「旅行」だったからかも知れません。ですから,宿泊学習の要素をなるべく多くして実施しているのが,小学校の修学旅行なのです。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№35 令和6年6月5日発行

◆ 思いやりは つながる~『情けは人のためならず』~
 身の回りに起きた小さな出来事から先人の残した教訓を思い出すことがあります。誤解
して理解していることの多い諺(ことわざ)について子どもたちに分かりやすく話しました。

『情けは人の為(ため)ならず』という「ことわざ」があります。どんな意味だと思いますか。「情け」とは「人の情けを知って涙が出る」のように「優しさ」とか「思いやり」のことです。そうすると「優しくすることは人のためにならない。却って,厳しくする方がその人が成長することになるのでよい」という意味になってしまうのでしょうか。

 この前の日曜日にこんなことがありました。私はホームセンターにボールペンの替え芯が欲しくて買い物に出かけました。ボールペンの替え芯を1本,手に取るとレジに並びました。日曜日なのでレジにはカゴにたくさんの品物を入れた人たちが長い列を作っていました。みんな自分の前の人のカゴの中身のたくさんの品物を見て,いやそうな顔をしています。よほど忙しいのか,みんな少しでも早くレジでの会計を終わらせたいと思っているようでした。

 ずいぶん長い時間が経って,ようやく私の前に並んでいる人が一人のおばさんだけになりました。カゴには洗剤やらスポンジやら,たくさんの品物がいっぱい入っていました。私は,レジでの会計が終わるには,さらに多くの時間がかかるだろうなと覚悟しました。その時です。そのおばさんが,ちらっと私の手の1本だけのボールペンの替え芯を見て,こう言いました。「お先にどうぞ」と。私はびっくりしました。おばさんも長く待ってイライラしていたはずなのに,1つの品物の会計が終われば,すぐに帰れる私のために順番を譲ってくれたのです。私はお礼を言うとレジでの会計を済ませて,うれしいことに考えていたより早く店を出ることができました。

 私は,家に帰る車の中で考えました。「優しい人もいるものだな」と。また同時に思い出しました。実は去年,私は逆のことをしたことがあったのです。全く違うスーパーマーケットのレジで,私の後ろに並んでいたおじさんが,果物を1袋だけ持っていたので,この前の日曜日のおばさんのように順番を譲ったことがあったのです。それを思い出したら,まるで優しさが巡り巡って自分に戻ってきたような気になりました。こんなことを表した「ことわざ」が『情けは人の為ならず』なんです。

 「人に優しくしてあげるということは,その人のためではなくて巡り巡って自分に返ってくるから結局は自分のためになり,優しさの溢(あふ)れる世の中になるんだよ。」というのが,その意味なんです。人に優しくすると,優しくされた人は,その他の人に優しくします。そうして優しさは社会に広がり,みんなが互いに思いやる住みよい社会になっていくのです。「優しさ」って,すごい力を持っている思いやりの心だと思いませんか。学校みんなの教育目標の一つ「つながり合う」ためには,そんな優しさや思いやりのある素敵な心を持つことが大切です。自分に優しく接してくれない人がいたら,逆に優しくすると,その人の心が優しい素敵な心に変わってくれるかも知れません。イソップ童話の『北風と太陽』のような感じです。まずは学校,そして沢石地区,三春町を優しさでつながる社会にしましょう。

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