校長室からお届けします

2024年7月の記事一覧

にっこり 校長室だより「自立の丘」№38 令和6年7月19日発行

◆ 夏休みで元気を取り戻そう
  いよいよ夏休みです。今日のふり返りの会で次のように子どもたちには話しました。
 ゆったりとした気持ちで過ごし,心と身体の元気を取り戻してほしいと思います。

 明日から37日間の長い夏休みが始まります。楽しみだね。考えてみると,休み中の土曜日や日曜日も入れると,休み前に学校に来た71日間の半分以上の日数が夏休みの期間です。やる気のある人が何かを積み重ねると,夏休みには,きっとすごい事ができるような気がしますね。夏休みは,皆にとって『チャンス』なのです。

 まず第一に,学校の授業は休みなので,新しい学習が進められるという事はありません。よく身に付いていない学習をやり直したり,学習した事を確かめたりすれば,休み明けの学習をすらすら出来るようになります。学習がちょっと皆より遅れたなと感じている人には追い付く『チャンス』です。

 第二には,長い夏休みにしか出来ない学習に取り組む事が出来ます。長い時間をかけて生き物とか草花をじっくり観察したり,不思議だなと思ったことを実験で確かめたりして理科の自由研究に挑戦する事や,普段よりも長い作文に取り組む事,いつもより厚い本を読む事,読書感想文に挑戦する事などです。つまり,普段「やらされているなあ」と感じている学習に対して自分から挑戦して見返してやる『チャンス』です。

 第三には,家族のためになる家庭の仕事を,学校がある日よりも多くする事ができます。そうすると,家族に喜んでもらう事ができ,家庭を幸せにする役割を果たす事ができます。つまり,お手伝いではなく家庭の仕事の一つを任せてもらうこと「家事の分担」をするのです。学級で配る『夏休みの生活』というプリントにも「お手伝いをしましょう」ではなくて,「仕事を決めて毎日続けよう」となっているはずです。食器の片付けでもお風呂掃除でも良いので心を込めてやりましょう。仕事の事を英語でJobと言いますが,家の人にGood Job(いい仕事してますねえ)と言われるかも知れませんよ。家族に認めてもらえる『チャンス』です。

 最後は地域の行事です。私は小学校6年生の時の夏休みに地区の盆踊りの太鼓演奏に挑戦しました。7月の初め頃に地区の青年団のおじさん達から「8月15日の盆踊りで太鼓を叩いてみないか」と言われたので,友達何人かとやってみることにしました。夏休みに入ると練習が始まりました。毎日,夜の6時から8時までの2時間,公民館で青年団のお兄さん達に小太鼓を教えて貰いました。立ち続けて太鼓を叩き続ける練習は辛かったのですが,盆踊り本番の子どもの時間が6時から8時の2時間なので,それをやり遂げる為でもあると励まされて休まずに頑張りました。本音を言うと,練習終わりにいただける,菓子パンと牛乳が楽しみで頑張ったように思います。その甲斐あってか,練習の最後の頃には大太鼓も交代しながら叩かせて貰うようになりました。

 8月15日の本番がやってきました。たくさんの地域の皆さんや多くの友達が盆踊りの輪をつくる中心の「やぐら」の上で太鼓を叩くのは最高でした。やって良かったなあと思いましたし,「自分は,やれば出来るんだ」と,その後の生活の自信が付いたように感じました。沢石地区でも今年は盆踊りが復活するそうです。地区の行事があるときには,なるべく参加して欲しいなと思います。これが4つめのチャンス「地域の行事」です。長い夏休みには,たくさんの『チャンス』があるのですね。

 さあ,明日からの夏休み,チャンスを生かすかどうかは自分次第です。4つのチャンス「学習」「挑戦」「家庭の仕事(Job)」「地域の行事」を是非生かして下さい。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№37 令和6年7月8日発行

◆ 夏休みは “ 小さな科学者 ” に
 あと2週間で夏休みがやってきます。夏休みは期間が長いので,学習が遅れている子には挽回するチャンスですが,ドリル学習(繰り返しの学習)等で身に付く,目に見える「学力」の向上は期待できません。そこで夏休みの「提出を義務づける学習」の宿題は減らし,「理科自由研究」を推奨します。最近重視されている,子どもの非認知能力(テストでは分からない「やる気」「自信」「粘り強さ」「気づく力」など)の向上を願ってのことです。家族のアドバイスや手助けは増えると思いますが,有意義な夏休みのため,ご協力よろしくお願いします。

 私は,夏休みが近づいてくると決まって,多くの小学生が理科の自由研究にチャレンジしてくれたら,うれしいなあと思います。それは,小学生の理科自由研究について,こんな話を聞いたことがあるからです。

 今から14年前の2010年(平成22年)のことです。千葉県のある小学4年生の男の子が夏休みの理科自由研究をやっていました。研究テーマは「アリジゴクの研究」です。アリジゴクとはウスバカゲロウという空を飛ぶ昆虫の幼虫で,成虫に成るまでは,土の中にいて落とし穴のような巣を作り,うっかり落ちてくるアリを食べて生きています。その穴が,食べられてしまうアリにとっては,まるで地獄のようなので,幼虫はアリジゴクと呼ばれています。乾いた砂を入れた入れ物に捕まえてきたアリジゴクを入れて,1週間に1匹,アリを入れて食べさせれば,簡単に飼うことが出来るので,理科自由研究では昔から多くの小学生がテーマとして選んでいました。

 男の子が,ある日,飼っているアリジゴクの体の写真をアップで撮ろうと白い紙の上に置きました。しばらくすると,紙に少しだけ黄色い液体が付いていることに気が付きました。「まさか,おしっこなのかな?」10年前の昆虫図鑑には「アリジゴクは糞や尿(おしっこ)をしません。お尻の穴も塞がっています。」と書いてあったので驚いたのです。男の子は確かめようと,10匹のアリジゴクを白い紙の上に置きました。そして3時間後には,そのうち4匹のお尻のところに黄色い液体が付いていたそうです。男の子は,「アリジゴクは糞をしないけれど尿(おしっこ)はする」という研究をまとめました。

 世の中の人が皆思っていた常識と違うことだったので,新聞にも載り,テレビでも放送されました。それまでアリジゴクを研究した何人もの全国の小学生誰もが,気づかなかったことです。もしかすると気づいても「図鑑に書いてあるから,おしっこじゃないな」と思ってしまったのかも知れません。その後,黄色い液体はアリジゴクの尿(おしっこ)であることが科学者の研究によってはっきりしました。一人の小学生の自由研究が科学の常識を変えたと言っても良いのかも知れません。4年生の男の子が「小さな科学者」になったとも言えます。

 当たり前だと言われていることや不思議だと思ったことを実際にやって確かめてみる事が出来る学習。それが夏休みの理科自由研究なのです。自分で考えて自分で研究を進めていくので,どんどん考える力を付けることが出来ます。おまけにステキな発見が付いてくるかも知れません。自由研究が夏休みの一番の思い出になることもあります。先生方やお家の方と相談したり,科学に関する本を読んだりして,今のうちに計画を立ててください。担任の先生から理科自由研究の手引きを頂けます。ぜひ,今年の夏休みは,みんなが小さな科学者になるチャンスを生かすため,多くの子が自由研究に取り組んでほしいと思います。

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