校長室からお届けします

校長室だより「自立の丘」

にっこり 校長室だより「自立の丘」№13 令和5年8月28日発行

◆ 1学期の再スタート(本校は2学期制をとっています)
 長いと思っていた夏休みもお子さんにとってはアッと言う間に終わった感じではないでしょうか。教師も夏休み中に色々やろうかなと考えるのですが,思い通りにならない夏休みに終わってしまうことが多いようです。私などは,そんな夏休みを40回近く,小学生の頃からを加えると55回も繰り返しています。人間って進歩しないなあと感じます。もし,お子さんが充実した夏休みを送れなかったとしても悲観することはないと思います。ですから,心機一転の切り替えも大事なので,夏休み後の初日に以下のような話をしました。

“はじまりの会”の話 ~ 努力することで人は輝く ~

 昨日で長い35日間の夏休みが終わり,今日は,また授業が始まる日です。夏休みに3つのチャンスを生かすように話しましたが,どうでしたか。『学習』『挑戦』『家庭の仕事』の3つのチャンスでした。夏休みで付けた力を生かして自分をぐんと伸ばすのが,これからですから,がんばっていきましょう。

 私は今朝,学校に来る時,田んぼを見かけました。登校班で登校する人の中には歩いてくる途中に田んぼがある人もいるんじゃないかな。夏休みの間に稲がずいぶんと大きく成長したことに気づきましたか。

 春に田植えをした頃には薄い黄緑色で,あんなに小さく細かった稲が,とても濃い緑色で太くて何本もに増えて大きくなっていました。実は夏休み中に目立たないような小さな花を咲かせ実である米ができ始めているんです。これから秋に向かって稲は花だったところにたくさんのお米を実らせていきます。楽しみですね。

 でも,不思議じゃありませんか。あんなに濁った泥の中に生えていて泥の中の栄養を吸い上げているのに,真っ白で輝くような艶(つや)のある,おいしいお米が出来るのですよ。私は不思議でたまりませんでした。でも,夏休み中にあの田んぼの稲を見ているうちに思い付きました。それは人間の努力というがんばりとその人が力を伸ばした輝く姿との関係です。がんばっている姿は,人から見ているとかっこ悪く,濁った泥水のように見えるかも知れません。でも,そのかっこ悪い姿の中で努力して力を伸ばすから,光り輝くような自分になれるのではないかということです。稲の姿とこれから実るお米から,努力とがんばることの大切さを教えられたように感じました。光り輝くような活躍をする人は,実は人に見られないところで頑張っているものなんですね。出来ないことを「出来ない」というのを恥ずかしがってはいけないし,出来ないことを頑張って出来るようにしようとしている人を「かっこわるいなあ」などとバカにしてはいけません。

 今日から夏休みで止まっていた授業が始まります。1学期の始業式にみんなは自分のめあてを立てたはずです。でも,それが自分にとって良いめあてとなった人ばかりではないと思います。いつの間にか忘れてしまった人もいるかも知れません。そこで,自分の学校生活のめあてを確かめたり,見直したりして下さい。その時,1学期の終わり10月6日にどんな自分になっていることが素敵なのかを考えて,めあてを見直すことが大事です。力いっぱいに根から栄養や水を吸い上げて米を実らせていく稲に負けないよう,光り輝く沢石の子どもになるため,今日からの1学期の残り30日間をがんばり通す,めあてという頑張る心のパワーを,44人の全校生が持って欲しいと思います。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№12 令和5年7月20日発行

◆ 成長の夏休みに
 いよいよ夏休みです。子どもが家庭で過ごす時間が多くなりますし,昼食の心配もあるので,ちょっと気の重い親御さんも居られるかも知れませんね。しかし,学校の授業ででは身に付けられない学力,例えば“進んで学習する力”“疑問を解き明かす力”“計画的に続ける力”などを身に付けるチャンスです。以下のような話をしました。

 夏休みのチャンスを活かそう

 明日から長い夏休みが始まります。やる気のある人が何かを積み重ねると,夏休みには,きっとすごい事ができるような気がしますよね。夏休みは,みんなにとって『チャンス』なのです。
 まず第一には,学校の授業はお休みですから,新しい学習が進められるという事はありません。よく身に付いていない学習をやり直したり,学習した事を確かめたりすれば,休み明けの学習をすらすら出来るようになります。つまり,学習がちょっと皆より遅れたなと感じている人は追い付く『チャンス』です。
 第二には,長い夏休みにしか出来ない学習に取り組む事が出来ます。長い時間をかけて生き物や草花をじっくり観察したり,疑問に思ったことを実験したりして理科の自由研究に挑戦する事や普段よりも長い作文に取り組む事,いつもより厚い本を読む事,読書感想文に挑戦する事などです。つまり,普段「やらされているなあ」と感じている学習に対して挑戦して見返してやる『チャンス』です。
 第三には,家族のためになる家庭の仕事を,学校がある日よりも多くする事ができます。そうすると,家族に喜んでもらう事ができ,家庭を幸せにする役割を果たす事ができます。つまり,お手伝いではなく家庭の仕事の一つを任せてもらう「家事の分担」をするのです。学級で配る『夏休みの生活』というプリントにも「お手伝いをしましょう」ではなくて,「仕事を決めて毎日続けよう」となっているはずです。食器の片づけでもお風呂掃除でも良いので心を込めてやりましょう。仕事の事を英語でJobと言いますが,家の人にGood Job(いい仕事してますねえ)と言われるかも知れませんよ。つまり,家族に認めてもらえる『チャンス』です。
 私は小学校4年生の時の夏休みの自由研究で,アサガオの花が咲く瞬間を連続写真で撮ってやるぞと挑戦しました。朝6時に起きました。もうアサガオは咲いていました。次の日は5時に起きました。アサガオは咲いていました。次の日は4時に起きました。それでもアサガオは咲いていました。でも,完全には開いていませんでした。アサガオとの早起き競争になりました。寝坊したり見ている間に居眠りしてしまったりと失敗もあったので10日以上経ったある朝,3時半に起きて見ていると,4時前の暗いうちに,あのドリルのような蕾(つぼみ)が微(かす)かに動き始め,翼を広げるように微かな「シュッ」という音と共に花が開いたのです。とても感動しました。シャッターを押すのも忘れるほどでした。アサガオの花が咲く時に音がするなんて,どの図鑑にも載っていませんでした。もしかすると私の気のせいだったのかも知れません。しかし,アサガオの花の咲く瞬間を見た時の胸のドキドキが今も忘れられません。そして,何より大人になっても夏休みに挑戦した自由研究をこうして覚えているのです。自分で考えて挑戦し苦労して体験した事なので,自分の身に付いたのだと思います。
 さあ,明日からの夏休み,チャンスを生かすかどうかは自分次第です。3つのチャンス「学習」「挑戦」「家庭の仕事(Job)」を是非生かして下さい。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№11 令和5年7月6日発行

◆ もうすぐ夏休み  ~ 夏休みならではの学習を ~
 7月21日から35日間の夏休みに入ります。普段の宿題では中々身に付けられない学力を高めさせたいと願っています。それは“探究力”(問題を解き明かしていく力)と“主体性”(進んで学習しようとする態度)です。そして,それに打って付けなのが“理科自由研究”です。
 我が家の息子や娘は,二人とも6年間“理科自由研究”に取り組みました。1・2年生の頃は親が手伝いましたが,学年が進むに従って,徐々に自分で出来るようになり,高学年の頃には,親は見守るだけになりました。何回かは素敵な賞も頂き,幸せだったと感じています。
 親としては,進んで学習する気持ちを育てたいという願いもありましたが,やり遂げた達成感や自信が良い思い出となり,子供達の人生を応援してくれたら良いとも考えていました。それは確かめようのない事ですが,それぞれ6冊ある研究作品のその後の行方が教えてくれました。子供達は家を出る時,自分の部屋の荷物を整理して引っ越して行ったのですが,6冊の作品は,それぞれの部屋の寂しくなった棚に“大事そうに”揃えて置いてありました。

    夏休みは思い出づくりのチャンス ~ 理科自由研究のすすめ ~   
 6年生の私は,夏休みが,もうすぐというある日「理科の自由研究に何をやろうかなあ。」と,ぼんやり家の正面に見える山,片曽根山を見ていました。「小学生最後の夏休みだから,あの山みたいに,でっかいことに挑戦したいなあ。」と,ふと思いました。そして,こんなことを思いつきました。「よし,あの山にある花や草などの植物を全種類採集して押し花標本を作ってやるぞ」と。今,考えると,その頃に現在人気のNHK朝ドラ『らんまん』のモデルとなった牧野富太郎博士の伝記を読んでいたからかも知れません。日本中を植物採集して歩き回り,日本で初めての植物図鑑を創った,すごい博士です。
 夏休みが始まると,行ける日は毎日のように山に出掛けて,籠に入るだけのたくさんの植物を根っこごと採ってきて,新聞紙に挟んで重石をのせ,押し花標本を作っていきました。同時に植物の名前を植物図鑑で調べました。何日か経つとすぐに山の全種類の植物採集をすることは,到底無理で如何に大変な事なのかに気付きました。採っても採っても,まだ採っていない植物が,それこそ山のようにあるのです。驚きました。「山の全種類の植物」としていた自由研究の目標を「夏休み中に出来るだけ」と変えざるを得ませんでした。
 今まで「草」と一言で呼んでいた植物が,実際は,たくさん有りすぎて,標本に出来たのは,50種類位でした。でっかい挑戦は成功しませんでしたが,それでもいろいろ分かりました。植物には,とてもたくさんの種類があること,植物の一つ一つに素敵な名前や面白い名前があること,山の上の方にしかない植物があること,毒のある植物もいくつか身近にあることなどです。例えば,家の近くにあったタケニグサという植物は切ると茎から黄色い汁が出るのですが,それが毒だったんです。私はタケニグサを押し花標本にする時に切ったので黄色い汁に触ってしまいました。口に入れなかったので助かりました。だから,タケニグサは今でも一目で分かります。いろいろ分かった事と一緒に「自由研究を一生懸命やったなあ」という良い思い出が出来ました。
 当たり前だと思っていることや不思議だと思ったことを実際にやって確かめてみる事に自分から挑戦できる学習。それが夏休みの理科自由研究なんです。自分で考えて自分で研究を進めていくので,夏休み中に1ヶ月以上学び続けることが出来ます。私達の目標の一番目「自ら学び続ける子ども」にぴったりです。完全にやり遂げることが出来なくても,私のように自由研究が夏休みの一番の良い思い出になることもあります。先生方やお家の方と相談したり,科学に関する本を読んだりして,今のうちに計画を立ててください。自分の心を励ましてくれるような良い思い出の1つを手に入れるためにも,自由研究にぜひ取り組んでほしいと思っています。
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にっこり 校長室だより「自立の丘」№10 令和5年6月27日発行

◆ 可愛い子には旅を・・・  ~ 宿泊学習記 ~
 6月22日から1泊2日で福島県西郷村の国立那須甲子青少年自然の家に5・6年生17名が行ってきました。引率は私の他,教諭2名と養護教諭との4名です。
 1日目,あいにくの雨のために阿武隈川源流を訪ねるハイキングは中止となりました。そこで,雨天時のプログラムとして用意していた,白河だるまの絵付けを行ないました。こういう創作活動は子どもたちの才能が発揮されます。だるまの命は「顔」だということがよく分かりました。思わず「イイね」と言ってしまう個性豊かな顔が揃いました。
 絵付けはハイキングに比べて短時間で済むので,急遽「なすかしココどこ」という室内オリエンテ-リング(地図を片手にチェックポイントを探し出すゲーム)をやることになりました。この自然の家は,施設内を全て回るには1時間以上かかる程に極めて広いのです。雨が降っても施設内で楽しめるように造られています。
 夕食後は,真っ暗な部屋の中でキャンドルを囲んでの楽しいひとときを過ごし,大浴場でさっぱりと汗を流し就寝しました。
 2日目,雨が上がったので予定どおりの野外炊飯です。羽釜でご飯を炊きながら,カレーも作らなければなりません。薪に火をつける事から始めますので結構大変です。子どもたちは役割を分担し,協力して実にスムーズに美味しい昼食を作りあげました。もちろん先生達の力添えはありましたが,合格点のカレーライスでした。大変なのは片付けですが,食器や鍋をピカピカにして,宿泊室の掃除と合わせて「掃除パーフェクト」の賞状が学校に届きました。
 家庭を離れて「自分のことは自分でする」という経験は,自立へ向けて子どもを成長させます。今回の集団宿泊活動は「子どもには厳しい社会の経験を積ませた方が自立できるようになる」という諺(ことわざ)「かわいい子には旅をさせよ」通りでした。この諺を英語で表すと,「Spare the rod,and spoil the child.」(ムチを惜しむと子どもがダメになる)とも言います。体罰をして躾をせよという意味ではなく,古今東西「子どもの成長のためには苦労体験を積ませなさい」という事でしょう。教育活動が社会人としての自立への一助になれば,学校としても嬉しい限りです。

◆ 家族で利用できる自然の家
 我が家では20年位前,息子と娘が小学生の間,毎年「なすかし」に泊って自然体験することを夏休みの恒例行事にしていました。森の中で迷子になりかけて何とか生還したことや協力して野外炊飯をしたこと,虫取りをしたこと等もあって,家族の絆が深まりました。「なすかし」を30歳を過ぎた息子達が「家族の思い出ベストワン」の場所に挙げてくれていることに喜んでいます。
 県内には国立那須甲子青少年の家・磐梯青少年交流の家(2名以上利用可)と県立郡山・会津・いわき海浜自然の家(5名以上利用可)の5施設があり,いずれも食費程度で宿泊できます。家族の絆を深める思い出づくりにオススメです。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№9 令和5年6月16日発行

◆ 責任について考える
 全国中学生人権作文コンテストに小学生時代に友達にケガをさせてしまったエピソードをモチーフにした作文がありました。子どもの「責任」について考えさせられる作文でした。

 【内閣総理大臣賞】  被害者と加害者 それぞれの立場
                        佐賀県武雄青陵中1年 平木洵太
 さだまさし氏の曲に「償(つぐな)い」という有名な作品がある。私が小学生の頃、母が聞かせてくれた話だ。それは,私が過(あやま)って友人に怪我をさせたことがきっかけだった。遊びの中の事故で、決して故意ではなかったが、友人は目のすぐ横を負傷してしまった。……(以下省略)

 法務省ホームページ参照 https://www.moj.go.jp/content/001129613.pdf

 【参考】

♫ 償い(つぐない)  さだ まさし 詩・曲

月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに 必ず横町の角にある郵便局へ とび込んでゆくのだった 仲間はそんな彼をみて みんな貯金が趣味のしみったれた奴だと 飲んだ勢いで嘲笑(あざわら)っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり 僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ たった一度だけ 哀しい誤ちを犯してしまったのだ 配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた 人殺し あんたを許さないと 彼をののしった被害者の奥さんの涙の足元で 彼はひたすら大声で泣きながら ただ頭を床にこすりつけるだけだった それから彼は人が変わった 何もかも忘れて働いて働いて 償いきれるはずもないが せめてもと 毎月あの人に仕送りをしている 

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣きながら走り込んで来た しゃくりあげながら 彼は一通の手紙を抱きしめていた それは事件から数えてようやく七年目に 初めて あの奥さんから 初めて彼宛に届いた便り「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に 主人を思い出して辛(つら)いのです あなたの気持ちはわかるけど それより どうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」 手紙の中身はどうでもよかった それよりも償いきれるはずもない あの人から返事が来たのが ありがたくて ありがたくて ありがたくて ありがたくて

神様って 思わず僕は叫んでいた 彼は許されたと思っていいのですか 来月も郵便局へ通うはずのやさしい人を許してくれて ありがとう
人間て哀しいね だってみんなやさしい それが傷つけあって かばいあって
何だか もらい泣きの涙が とまらなくて とまらなくて  とまらなくて  

 子どもは誰でも友達とケンカをすることがあります。ケンカをすることで社会性を身に付けていくとも言えますが、それが暴力に至り相手に怪我をさせると取り返しのつかないことにもなります。特に「目」は人体で唯一,体外に露出している内臓とも言える脆弱な器官です。カッとしたとしても相手の顔に手がいくようなことは避けなければなりません。
 最近はテレビや格闘型ゲームの影響なのか暴力的になる子どもが増えているように感じます。学校では暴力を振るいそうになる子には深呼吸や数を数えさせて怒りの感情をコントロールできるよう指導したり,じっくり話を聞いてあげたりしています。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№8 令和5年6月9日発行

◆ プールの季節到来
 3年振りにコロナウイルス感染症に,さほど神経質にならなくて済みそうな水泳授業の時期がやってきました。1年間,眠りについていたプールを市川さん,渡辺さんのお二人の町外部作業員さん,そして児童と先生達が力を合わせて掃除して美しく,よみがえらせました。人手の少ない状況を劇的に変えたのが,地区の佐久間様から借用した高圧洗浄機でした。頑固な汚れをすっかり落とすことが出来ました。感謝申し上げます。
 学校は簡易水道のため,なかなかプールが満水になりませんが,なるべく早く水泳授業を開始したいと思います。7月20日のプール納めまで水泳に適した日は限られてくると思います。体調を整えて,なるべく多くプールに入って泳げるようになったり,水泳の技能を高めて欲しいと思っています。

かっぱ(河童)を目指そう (6/7 プール開きの話)

 今日は待ちに待ったプール開きです。よかったね。でも私は,小学校5年生になるまで泳げなかったので,それまで水泳の授業は楽しくありませんでした。小学校にプールがなくて,遠くの町営プールまで行って,年に何回かしか水泳の授業がなかったからだと自分は悪くないと言い訳をしていました。でも,みんなはプールが学校にあって幸せですね。どうして泳げなかったかは後で泳げるようになった時,分かりました。水は怖くなかったし,水中で目を開けることも平気でした。体を水に浮かせることも出来ましたが,少し泳ぐとすぐに立ってしまうんです。そういう人は居ませんか。実は息継ぎが出来なかったんです。口や鼻を水から出して息継ぎをしているつもりでも空気を吸えていなかったんです。それが水中で息をたくさん吐けなかったからだと気付いてから,すぐに息継ぎを覚えて泳げるようになりました。

 ところで,水泳の授業は,なぜ行うのでしょうか。みんなの目標「学び・つながり・つくる」の3つめ「つくる」ですよね。「自ら身体をつくる子ども」のためです。体育として体を丈夫にするためですが,命を守ることにもつながります。間違って池や川,海に落ちてしまった時,泳いで岸や船に戻って来れなくても何分間か泳いで浮いていることができると助けてもらえる可能性がグッと高くなります。将来,自分の命を守ってくれることにもつながる大切な授業ですので頑張って取り組みましょう。

 泳ぎの得意な伝説上の生き物に「かっぱ」がいます。河童を目指すような気持ちで泳ぎの練習をしてください。でも,「河童の川流れ」という諺もあります。「泳ぎの得意な河童も油断すると川に流されてしまうことがある」,つまり「あることの専門家でも油断すると失敗するよ」というアドバイスです。水泳で言うと「溺れること」です。気を付け過ぎるぐらい気を付けて水泳の授業を楽しんで欲しいと思います。私も水泳の息継ぎができるようになってからは泳げるようになり,水泳の授業が楽しくなりました。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№7 令和5年5月31日発行

◆ 沢石の子,大活躍
 5月25日に行なわれた第4回田村地区小学校陸上競技大会(田村地区・川内村全15校,約400名参加)において沢石の子達が大活躍しました。6年生全員の10人が出場しましたが,次のような好成績でした。
 ① 男子4×100mリレー(渡邉T・佐久間B・渡辺H・佐久間I・佐久間D)第2位(58秒23)
 ② 男女混成4×100mリレー(渡辺K・佐久間N・佐久間R・佐久間Y・井堀H)第2位(1分01秒9)
 ③ 男子100m…佐久間I 第1位(13秒54) 佐久間B 第4位(14秒49)
 ④ 女子100m…佐久間 N 第5位(15秒96)
 ⑤ 女子800m…佐久間Y 第2位(2分34秒03…大会新記録)
 ⑥ 男子走り幅跳び…渡辺H 第7位(3m47)
 優勝あり,大会新記録あり,入賞多数そして何と言っても6年生全員の10人が3位までに贈られるメダルを手にしたことが喜ばしい限りでした。ふと,20年近く前に私の娘が田村市陸上大会で女子リレーの補欠として優勝メダルを手にしたことを思い出しました。「この娘は運を持ってるな」とその時は感じましたが,今は「神様が練習を見てくれていたのだろうな」と思っています。練習をよく頑張ったね,みんな。そして練習を見てくれた先生達に感謝です。
 また,5・6年生の希望者8名が参加した27日の全国小学生陸上競技交流大会(通称日清カップ)福島県大会田村予選でも8名全員が県大会への出場権を獲得するという好成績でした。力を伸ばして7月2日の県大会に臨んで欲しいです。

◆ PTA奉仕作業に大感謝
 日曜日に歴代PTA会長・副会長会の皆様にもご協力頂き,草刈り・草取り作業をして頂きました。お陰で気持ちの良い教育環境に整えられました。ケガ等の報告は受けていませんが,もし何かあったのであれば,PTA安全互助会傷害保険に加入しておりますので,学校まで連絡いただけると幸いです。誠に有り難うございました。
 また,学校入口付近の道路沿い法面をまちづくり協会の皆様や富沢六楽会及び富沢長寿会の皆様に草刈りをしていただきました。学校では手の届かない場所ですので,大変助かります。この場を借りて御礼申し上げます。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№6 令和5年5月23日発行

◆ 銀河鉄道の父
 役所広司さんが宮沢賢治の父親役を演じる映画『銀河鉄道の父』が話題です。当然,宮沢賢治の生涯も描かれるのですが,父親が主人公なので父親の視点で描かれた家族の物語でした。一番の理解者であり,彼女に読み聞かせようと童話を創作していたと言っても過言ではない二歳下の妹トシが亡くなってしまった後,賢治は創作意欲を失います。特に印象的だったのが,そんな賢治に父親が「わだしが一番の読者になるから書げ」と話しかけるシーンです。「親だけは最後まで子どもの応援者である」とはっきり分かった時の子どものうれしさに思いを馳せました。世間に認められなくても,多くの傑作を書き続けられた秘密の一端が分かったような気がしました。

◆ 宮沢賢治の考え方に学ぶ
 宮沢賢治は自身の死後,ようやく世間に認められて多くの童話が出版された作家ですが,全て人としての生き方への示唆に富んだ作品ばかりです。私が好きな童話としては,虔十(けんじゅう)という若者の植えた700本の杉苗が,自身の死後20年を経て,暑い日に子ども達の涼しい木陰の遊び場所になり,そこに若者の名前が付けられる『虔十公園林』。また,冷害による孤児であった若者が犠牲となって火山を爆発により噴火させ,気候を変えて東北地方の冷害を防ぐ『グスコーブドリの伝記』等があります。いずれも「個人が社会全体のためになる生き方をする」という賢治の思いを感じさせます。
 賢治は著作の中で『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』と述べています。実は昨年から9年間の福島県教育施策の最上位目標が『個人と社会の well-being(幸福)の実現』となっています。県内全ての公立小中高校は,それに向かって学校改革を進めているのです。21世紀の学校教育の目標が20世紀初頭に賢治によって語られていたことに感服します。子どもたちにも『自分も友達も社会も幸せになる」という考え方を育みたいと思います。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№5 令和5年5月18日発行

◆ あいさつは心の扉を開く
 沢石小の子どもたちのあいさつは,大変素晴らしく,朝は“こども守り隊”の方々に「おはようございます。ありがとうございます。」と,そして職員室の窓に向かって「おはようございます。」と,あいさつをしています。でも,中には俯(うつむ)いてしまう子や聞き取れない位のあいさつの子もいます。あいさつをすると相手の心の扉を開き,親しくなれるきっかけを作ってくれます。社会人の習慣として重視し,「あいさつがきちんと出来る者を雇用する」と話す経営者もいる程です。子ども達のあいさつをさらに良くしたいと考えて,全校集会で次のような話をしました。

あいさつで心の絆を結び,つなり合おう

三春町立沢石小学校長 安生昌弘

 ある小学校で私が2年生の担任をしていた時のことです。ある5月の朝,まだ小学生が誰も登校していない早い時間に,私は2年生の教室に向かって歩いていました。すると黄色い帽子をかぶった一人の1年生の男の子が,2年生教室の向こうの1年生教室に入っていくところでした。登校1番乗りです。遠くにいる私には気づいていないようでした。すると,その子は元気の良いかわいい声で「おはようございます」とあいさつしながら1年教室に入っていきました。「1年生の担任の先生が教室にいらっしゃるんだな」と思いました。私は1年生の担任の先生に話があったので,2年生教室を通り過ぎて,さっき男の子が入っていった1年生教室へ行ってみました。すると,どうでしょう。その男の子がいるだけで,後は先生も誰もいません。「A君,おはよう。今,あいさつして教室に入って行ったよね。誰にあいさつしたの?」と聞いてみました。するとA君は,ちょっと考えてから,「『教室に』かなあ。」と言うのです。「毎朝,あいさつするの?」「うん,毎朝だよ。」「偉いねえ。」「ありがとうございます。」 誰もいない教室で話をしました。

 私は素晴らしいなあと思いました。A君は毎朝,誰かにではなく教室にあいさつしているのです。教室を大事に思っている気持ちが伝わってきました。もしかすると,先生か友達か誰かが教室にいても良いようにと,あいさつしているのかも知れません。だから,みんなを大切に思っている気持ちも伝わってきます。私は,A君と仲良くなれたような気がしました。直接あいさつを交わしたわけではないのにです。あいさつは,その人の気持ちを相手や周りの人に伝え,心と心がつながります。つまり,あいさつは学校の教育目標の二つ目「つながり合う子ども」になることに大切なのですね。それを1年生のA君に教えてもらったような気がしました。

「あいさつ」という言葉を活かして「あいさつ運動」というものがあります。「おはよう」「こんにちは」「さようなら」等のあいさつを「あ:明るく,い:いつでも,さ:先に,つ:続けて」しましょうという取組です。あいさつがもう一歩だなという人は,気持ちが良くなるような明るい声で,どんな時でも,相手より先にあいさつをしましょう。また,気持ちの良いあいさつが出来ている人は,あいさつの後に,言葉を続けてみましょう。例えば,交通安全見守りをしてくださっている方に「おはようございます。いつも早い時間にありがとうございます。」とか,沢石地区で会った方に「こんにちは。今日は暑いですね。」とかです。これが「つ:続けて」ということなんです。あいさつで人と人との心のつながりが出来ていきます。「あいさつ運動」で,もっともっとあいさつが溢れる沢石小学校や沢石地区,三春町にしていきましょう。

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にっこり 校長室だより「自立の丘」№4 令和5年5月1日発行

◆ 頑張る沢石の子
 5・6年生の子どもたちは,今,田村地区陸上競技大会に向けて練習に頑張っています。例年であれば,9月に開催される大会ですが,会場の田村市陸上競技場が競技ルール改正に伴う長期改修工事に6月から入るため,今年は5月25日(木)に開催されます。6年生10名が参加しますが,同じ学級の5年生7名も来年のために練習に参加し,頑張っています。上級生に倣(なら)って学び育つという複式学級の良さが出ています。
 4月末から,登校後に体育館での基礎練習,体育の授業や放課後に出場種目毎の練習というサイクルで練習を積み上げています。大会では,10人それぞれの自己ベストを出して,悔いの残らない練習や大会にしてほしいなあと願っています。なお,県小学校陸上競技交流大会田村予選は5月27日(土)に同じ会場で開催される予定です。

◆ 子どもたちは優しい
 学校の校庭(旧 沢石中校庭)には結構多くの石があります。これは,平成23年の東日本大震災に伴う原発事故で校庭表土の入れ替えをした際に,緊急措置のため,あまり上質でない山砂が入れられたことが原因かと思います。砕石やコンクリート片が多いので,子どもたちのケガが心配です。そこで,少しずつ石を拾うことにしました。
 拾い始めて数日後のことです。私の姿に気付いた子どもたちが遠くから「ありがとうございま~す」と声を掛けてくれるようになりました。お礼を言われると,やっぱりうれしいものです。自分が褒(ほ)められて伸びるタイプだと確信しました。
 その数日後は,ある5年生の男の子が黙々と大きな石を掘り出して手伝ってくれました。そしてまた,その数日後になると下学年の子どもたちが,遊びを中断して「校長先生を手伝うよ~」と大勢駆(か)け付けてくれるようになりました。子どもたちの優しさに触れられることも,石拾いの成果です。

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